2012 Fiscal Year Research-status Report
企業活動のグローバル化の下での自律的行動促進のための原価企画システム
| Project/Area Number |
23530600
|
|---|
| Research Institution | Rikkyo University |
|---|
Principal Investigator |
諸藤 裕美 立教大学, 経済学部, 教授 (20335574)
|
|---|
| Keywords | 原価企画 / トヨタ / 自律的行動 / エンパワメント / グローバル化 / 内発的動機づけ / 進化 |
|---|
| Research Abstract |
企業活動のグローバル化のもとでの自律的行動促進のための管理会計の要件を明らかにすべく、以下の２点の研究を行った。
第一に、自律的行動促進のための管理会計の要件を考える上での既存研究のサーベイを行った。昨年度、欧米の経営管理学領域のエンパワメント研究についてサーベイを行っていたが、それを補うべく以下の領域のサーベイを行った。
1.欧米の管理会計学領域におけるエンパワメントのための管理会計の研究やエンパワメントが必要とされる不確実性の高い環境下でのマネジメント・コントロール・システムに関する研究などをサーベイした（なお、エンパワメントとは自律的行動と非常に類似した概念であることが既存研究により明らかとなっている。）。2.本研究では、自律的行動が顧客ニーズに合った製品の迅速かつ柔軟な開発に結び付くことに着目していることから、それに関連する日本の経営学領域の研究のサーベイを行った。3.心理学領域の認知的評価理論、自己決定理論のサーベイを行い、自律的行動に必要な内発的動機づけや外的事象の取り込みを高めるためのインセンティブ・システムの要件について確認した。4.日本の管理会計学領域の自律的組織やエンパワメントの研究に関し、昨年度より引き続きサーベイを行った。これらの作業の途中成果として、９月に学会報告を行った。
第二に、企業活動をグローバル化させている企業の海外出向経験者へのインタビューを行った。それにより、グローバル化がいつ頃どの程度進んでいったか、グローバル化の進展により、どのような問題が認識されたのかについて確認することができた。
|
| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
自律的行動促進のための管理会計の要件を明らかにするための文献レビューについては、管理会計学、経営学、心理学の領域と広範に行い、また各領域の知見を統合することができた。
しかし、ヒアリング調査については、海外出向経験者に対して行うことができたが、本研究の問題意識を満たすに至っていない。
また、フレームワーク構築につき、当初想定したよりも網羅性の高いものとなったが、そこに時間がかかってしまい、定量的研究の準備が遅れている。
|
| Strategy for Future Research Activity |
本研究の問題意識に照らして、以下の２つの問いを設定し、検討する。
1.国内拠点と海外拠点のインタラクションをいかに機能させるか。
日本本社と海外子会社の距離的な問題などに加え、海外拠点への活動移転の目的の違いにより、必要なインタラクションがどのように異なるのかを論じたうえで、あるべきインタラクション促進のあり方を検討する。
2.国内で機能している自律的組織の促進要件が海外拠点でも同様に通用するのか。
自律的組織のための管理会計の要件に関して、日本・海外の管理会計学、経営学、心理学の領域の文献サーベイに基づき、抽出を行った。海外においてもそれら要因が同様に効果を有するのかを理論的に検討し、また、実証的に明らかにする。
|
| Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
昨年度は、海外拠点への出向研究者数名から国内本社でヒアリングを行ったため、海外へのヒアリング調査旅費を支出しないこととなった。また、国際学会への成果報告を2012年度中に行わず、2013年5月の学会で報告することとしたため、今年度は海外成果報告旅費の支出を行わなかった。
2013年度以降については、上記のように国際学会での成果報告を行うこと、また、ヒアリングを行うリサーチ・サイトの拡大、出向経験者へのヒアリングから得た知見を土台とした海外子会社管理者へのヒアリング調査を検討していること、また、協力企業が得られた場合、本研究のフレームワークで定量的研究を行いたいため、その調査にかかわる支出が必要となる。
|
Research Products
(2 results)
