2013 Fiscal Year Annual Research Report
成果主義の環境下における予算管理システムに関する日韓比較研究
Project/Area Number |
23530603
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Research Institution | Otemon Gakuin University |
Principal Investigator |
李 建 追手門学院大学, 経営学部, 教授 (10298680)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
曹 美庚 阪南大学, 国際コミュニケーション学部, 教授 (30351985)
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Keywords | 予算目標の変容 / 結果によるコントロール / バイブリッド型システム |
Research Abstract |
成果主義環境下における予算管理システムの在り方を巡って、複数の企業へのヒアリング調査ならびに国際比較研究の観点からの分析を行った。富士通が1993年に導入したとされる欧米型の成果主義は、その後、他の多くの日本企業にも導入され、普及していった。2009年現在、上場企業の8割以上が何らかの形で成果主義を導入していると言われている。しかし、成果主義を導入した企業の7割程度が、自らが導入した成果主義は失敗だったと答えるなど、日本企業において、成果主義は必ずしもうまく機能していないのが現状である。 一方、従来型の日本的経営から成果主義への移行に伴って、予算管理システムの果たす役割やその在り方にも変化が見られた。一連のヒアリング調査の結果から、予算目標の性格が、中期経営計画実現のためのマイルストーンとしての予算目標から、個人の業績評価指標としての予算目標へと変容を遂げている様子がうかがえた。また、このような変化に伴って、従来のプロセス・コントロールから結果によるコントロールへとコントロール・モードの変化が見られ、予算機能の焦点も、計画・調整機能から統制機能へと重点シフトが認められた。その結果、脱予算経営(BB)で主張されている予算の弊害が日本企業においても顕在化してくる可能性が高まったといえる。本研究では、このような問題点に対処するための代案として、バイブリッド型のシステムを提唱している。 今後の研究課題は、文化と企業のマネジメント・システムとの適合的関係を解明することである。マネジメント・システムに影響を及ぼす文化は、マクロレベルの国民文化とミクロレベルの企業文化に分けられるが、これらマクロ・ミクロの2つの文化が成果主義と予算管理システムにどのように影響を及ぼすのかを明らかにすることによって、予算管理研究のさらなる進展を図りたいと考えている。
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Research Products
(2 results)