2011 Fiscal Year Research-status Report
株式投資における会計情報の相対的重要性に関する調査研究
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23530607
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
富田 知嗣 関西大学, 会計研究科, 教授 (60264743)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 財務会計 / IFRS / 投資家の意思決定 / 情報メディア |
Research Abstract |
会計情報は,株式投資において,重要な情報として位置付けられているが,唯一の情報ではなく,株式投資意思決定では会計情報以外の様々な情報も利用されている。そこで,会計情報が株式投資におけるその他の各種情報との関係において,どの程度の重要性をもち,どのような役割を担っているのかを調査・研究することを,本研究の目的とし,とくに個人投資家の株式投資意思決定過程に焦点を当て,投資スタイルだけではなく,情報収集に利用されるメディアを変数として,会計情報の相対的な重要性を明らかにする。そこで,当該年度では,個人投資家の投資意思決定要因に関する調査と仮説としての意思決定モデルの構築を試みている。具体的には,以下の二点が主な内容である。まず一点めとして,次年度に予定しているアンケート調査のための予備調査として,証券会社や証券アナリストおよび当該分野の研究者,メディア・コンテンツ制作の関係者等に,意思決定における参照情報や利用メディアの抽出と,その際に生じる可能性のあるバイアスに関するインタビュー調査を行った。次に,二点めとして,次年度に予定しているアンケート調査実施のための準備を行った。予定しているアンケート調査は,郵送および街頭でのアンケートであるが,街頭でアンケートを行う場合,データの保護と加工の利便性を目的として,モバイルデバイス(iPad)の利用とそこから直接データを転送する方策を模索し,実験的な運用を試みた。ここで確認された問題点は,次年度に解決し,本調査に反映させる予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当年度中に,本アンケートに着手する予定であったが,街頭アンケートのためのモバイルデバイスを利用したデータ入力および転送に微細ではあるが運用上の問題が確認され,その解決のための方法を検討したため,予定に対し,若干の遅れが生じることとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
本調査としての,日本および米国でアンケート調査を行い,投資家(「個人投資家」「アナリスト(バイサイド)」「証券会社(個人担当)」「公認会計士」「学生」)の利用メディアの利用順序およびそこで入手する情報,会計情報が参照されるタイミング等を調査し,分析を行う。 その後に,分析結果を反映し,日米での違いを含めた,投資家の意思決定モデルの第1次モデルを構築する。その際,とくに,個人投資家の利用メディアおよび会計情報を含めた参照情報の順序のパターン化に注力する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
「現在までの達成度」で記載した「やや遅れている」ことの理由により,次年度への繰越金767,460円が発生している。すなわち,前年度に予定していた本アンケート調査(第1回め)が実施できなかったことが理由であり,この調査は本年度に実施する予定である。本年度には,アンケート調査としては,このアンケート調査(第1回め)および,第2回めのアンケート調査の予備調査を予定している。 アンケートの実施のためには,作成費(印刷費),実施費(通信費,謝金,旅費(国内および米国への出張旅費)),データの保全・保管費(消耗品費,謝金)を予定している。 また,第1回めのアンケート結果の分析およびその結果から投資家の株式投資の意思決定モデルの第1次モデルの構築のため,データ処理費(消耗品費,謝金,図書資料費等)を予定している。
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