2011 Fiscal Year Research-status Report
社会の持続的成長とライフサイクルコスティング―欧米諸国と日本との比較において―
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23530616
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Research Institution | Beppu University |
Principal Investigator |
矢澤 信雄 別府大学, 国際経営学部, 教授 (00439043)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西村 明 別府大学, 国際経営学部, 教授 (70037117)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 会計学 / ライフサイクルコスティング |
Research Abstract |
研究実績として本年度はライフサイクルコスティングに係わる基礎的文献調査を実施した。「ライフサイクルコスティング」をキーワードに検索エンジンにて書籍の検索を行い、「ライフサイクルコスティング」をタイトルに含む書籍の一覧表を作成した。さらに、社会の持続的成長とライフサイクルコスティングの関係性を検討するため、社会コストを視野に入れた企業会計と国民会計の統合の研究を実施し、その成果は平成25年9月に矢澤の単著として出版されることが決定されている。その主な内容はライフサイクルコスティングによる世代間の利害調整の試みである。世代間の公平性を評価するためには、生涯純税率(lifetime net tax rate)を指標とするのが従来の考え方であった。各世代においてこの生涯純税率が等しければ世代間の公平性は実現されていると判断されていた。これは、政府の視点からの世代間公平性といえる。しかしながら、矢澤は各世代が負担するライフサイクルコストを公平にすることが真の世代間公平性であると考え、この立場から著書を執筆した。さらに研究実績発表を、査読審査による論文の形では、"Uncertainty and Management Accounting: Opportunity, Profit Opportunity and Profit"をAsia-Pacific Management Accounting Journalにて西村が発表した。学会発表としては矢澤が日本会計研究学会九州部会第89回大会および日本原価計算研究学会 第37回 全国大会にて発表し、西村は日本管理会計学会にて2回の研究報告を行った。また、西村はライフサイクルコスティングにリスク測定の要素を取り入れることを意識して、「リスク測定の改善と迫りくる金融危機の改善のために管理会計の実務家と学者は何をなすことができるか」を翻訳した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
基礎調査およびデータベース作成がほぼ完了した。矢澤は研究発表を2回行った、さらに社会の持続的成長とライフサイクルコスティングをテーマにした単著の原稿を平成24年3月に出版社に入稿し、初年度の研究成果が矢澤の単著の形で明確に公表される。西村は査読審査による論文1編、研究発表を2回行った。したがって、研究はおおむね順調に進展していると判断することが妥当であると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
平成23年度に作成した「ライフサイクルコスティング」をタイトルに含む書籍の一覧表をデジタル化する予定である。また、「ライフサイクルコスティング」をタイトルに含む論文の一覧表作成および一覧表のデジタル化を行う予定である。また、平成24年5月に国内外のライフサイクルコスティングの研究者を招き、研究会を開催する予定である。この研究会においては米国、イギリス、ドイツでの社会環境・文化等を踏まえながらLCCの社会的背景を明らかにし、LCCが社会的な持続成長とどのように関わりながら研究ないし実行されているかを研究者が発表する予定である。さらに、平成24年5月に招いた研究者と共同で米国・イギリス・ドイツにおける先端的な経験についての事例研究をおこなう予定である。また、ライフサイクルコスティングの研究者へのインタビュー調査やアンケート調査を計画している。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
使用計画としては、次を予定している。1)ライフサイクルコスティング研究会開催費用(会場使用料、飲食代、研究者講演謝金、研究者招聘に係わる旅費)2)インタビュー調査費用(旅費、謝金)、アンケート調査費用(郵便代、アンケート印刷費用、アンケート集計作業費用)3)文献購入
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