2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23530621
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
三隅 一百 九州大学, 比較社会文化研究科(研究院), 教授 (80190627)
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Keywords | 連帯 / 社会関係資本 / 関係基盤 / 社会ネットワーク |
Research Abstract |
昨年度までいくつかのデータ分析によって、抽象度の高い関係基盤がリアリティのあるネットワーク想像力を醸し出す仕組みを検討してきた。そして、その検討を踏まえてインターネット調査を実施した。本年度は、そのインターネット調査データを用いて改めて前述の仕組みに関わる本研究の分析課題を検討し、連帯の制度化に関わる基盤条件を確認した。 主要な分析課題は第一に、関係基盤の多様性が連帯の高次化を促す効果、第二に、一般化された互酬性の媒介効果、第三に、結束型社会関係資本と橋渡し型社会関係資本の調整問題との関係である。目的変数である連帯の高次化としては、関係基盤の抽象度だけではなく、属性が異なる人びとに志向する異類連帯の側面も考慮した。分析の結果、友人関係や団体参加でみた関係基盤の多様性は、高次の連帯促進に対して一定の効果をもつが、その効果は一般化された互酬性や信頼等の社会関係資本によって媒介されることがわかった。中でも一般化された互酬性は、「日本人」のようにより抽象度の高い連帯や異類連帯を強く促進する。また、近隣づきあい等の結束型社会関係資本の効果も認められた。したがって社会関係資本としての連帯は、近隣ネットワークや一般化された互酬性等の結束型および橋渡し型の社会関係資本の蓄積として促進され、しかもそれを関係基盤の多様性が条件付けるといえる。 以上より、本研究が提唱した関係基盤の概念が、連帯の実証研究において有効であることが示された。それをふまえて連帯の制度化としていえば、一般化された互酬性の規範の醸成に資する形で、人びとが関与する関係基盤の多様性を増すことが、高次の連帯促進のための制度的な基盤条件である。こうした理論的視角が評価され、本研究の成果にもとづく著書『社会関係資本-理論統合の挑戦-』(ミネルヴァ書房、2013年9月刊)が第12回日本NPO学会賞優秀賞を受賞した。
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Research Products
(10 results)
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[Presentation] 連帯意識の構造2013
Author(s)
三隅一人
Organizer
第125回日本社会分析学会大会
Place of Presentation
広島大学東千田キャンパス
Year and Date
20130714-20130715
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