2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23530623
|
Research Institution | Nara University |
Principal Investigator |
吉村 治正 奈良大学, 社会学部, 准教授 (60326626)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渋谷 泰秀 青森大学, 社会学部, 教授 (40226189)
渡部 諭 秋田県立大学, 総合科学教育研究センター, 教授 (40240486)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
Keywords | 社会調査 / 職歴 / 郵送法 |
Research Abstract |
本研究は、職歴(キャリア)の調査を郵送・インターネット法で実験的に行おうとするものである。近年、主要な社会調査は訪問インタビュー法から次第に郵送・ウェブ調査に移行しつつあるが、職歴に関する調査だけは訪問インタビュー法によって行われている。職歴データは構造も複雑で個々人によって必要な情報量が極端に異なるため、職歴の調査は自己記入式では実施不可能とされてきた。ところが訪問インタビュー調査は次第に実施が困難になりつつある。こうした現状で、職歴を郵送やインターネット法でどこまで正確に把握できるのかを実験的社会調査を実施することで明らかにしようとするのが、本課題の目的である。 郵送法で職歴を調査するためには設問項目のレイアウトなどに細かい注意と配慮が必要になる。特にスキップ・フレーム(前の回答の内容によって次に答える質問が変わること)の設定はかなり工夫を要することになる。この点については、ウェブ調査は大きなアドバンテージがあると予想される。だが一般的なウェブ調査のように事前登録したユーザーに調査依頼を行うというやり方では、回答・非回答バイアスを把握できない。そこで本課題では、郵送法と同じくウェブ調査も住民台帳から無作為抽出された調査対象者に調査協力を依頼、指定アドレスにアクセスして回答してもらうという方法をとる。調査環境の変化の中で、より効率的でより経済的な方法を採用し、なおかつデータ精度を低下させないために事前に技術や知識・ノウハウを構築しておくこと、これが本課題の目標である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画では、23年度は文献調査と資料収集および調査実施の準備にあてられており、24年度に調査実施、25年度はその成果をまとめ学会などで報告するとしていた。23年度が終了した時点での進捗は、ほぼ予定通りと言えるが、いくつか予想外の事態が生じ、対応に追われている。第一は本課題の参加者3名のうち2名が所属機関を異動したことであり、これにより調査地の選定や各調査地点での配布数を見直す必要が生じた。第二には23年度の間に急速にタブレット端末が普及したことで、タブレット端末からの回答を想定してウェブ調査のインターフェースを調整する必要が生じたことである。ただし、これらの事態は研究の進捗に深刻な影響を及ぼすようなものではなく、調査の実施は当初の計画通り24年度秋に行う予定である。
|
Strategy for Future Research Activity |
24年度は当初の計画通り、郵送およびウェブ調査の実施を行う。調査地点は函館・青森・秋田・奈良および奈良近郊の一市を予定しており、5月以降、各自治体への協力要請を行う。ウェブ調査の技術的な問題(ユーザーインターフェースの調整)については、ほぼ目途が立っており、秋口の調査実施には十分間に合うと予想される。プライバシー管理には厳格に対処することとし、当初は回収票の入力作業を業者に委託する予定であったが、これも本課題の参加者の直接的な管理の下で、各参加者の指導学生をアルバイトとして作業に当たらせることとした。24年12月までにデータ入力およびエラーチェックを完了させ、25年3月を目途に一次的データの分析結果を持ち寄り、本課題参加者同士で検討する予定である。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
24年度は郵送およびウェブ調査を実施する予定であり、当初の予定通り調査実費(調査票印刷費、住民台帳閲覧費用、郵送費、調査協力者への薄謝、発送・回収・入力作業人件費など)が拠出される。これらの経費は150万程度と見積もっており、23年度からの繰越金のうち50万と24年度の申請額160万のうち100万をこれに充てる。機材・物品については、ウェブ調査のインターフェースのテストに用いるタブレット端末を数台(OSや画面サイズの異なるもの)を購入する必要が生じており、10万から20万ほどの支出を見込んでいる。これは予想外の支出であるが、調整可能な範囲であると考えている。また、本課題の参加者3名のうち2名が昨年度異動したことで、研究会および調査実施に要する旅費が増大しており、24年度の旅費は総額45万と見積もっている。その他の機材物品や消耗品については、それぞれの所属機関の方針や規則に従って拠出されることになる。
|