2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23530623
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Research Institution | Nara University |
Principal Investigator |
吉村 治正 奈良大学, 社会学部, 准教授 (60326626)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渋谷 泰秀 青森大学, 社会学部, 教授 (40226189)
渡部 諭 秋田県立大学, 総合科学教育研究センター, 教授 (40240486)
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Keywords | 社会調査 / 職歴 / 郵送法 |
Research Abstract |
本研究は、職歴(キャリア)の調査を郵送・インターネット法で実験的に行おうとするものである。近年、主要な社会調査は訪問インタビュー法から次第に郵送・ウェブ調査に移行しつつあるが、職歴に関する調査だけは訪問インタビュー法によって行われている。職歴データは構造も複雑で個々人によって必要な情報量が極端に異なるため、職歴の調査は自己記入式では実施不可能とみなされてきた。ところが訪問インタビュー調査は次第に実施が困難になりつつある。こうした現状で、職歴を郵送やインターネット法でどこまで正確に把握できるのかを実験的社会調査を実施することで明らかにしようとするのが、本課題の目的である。 郵送法で職歴を調査するためには設定項目のレイアウトなどに細かい注意と配慮が必要となる。特にスキップ・フレーム(前の回答の内容によって次に答える質問が変わること)の設定はかなり工夫を要することになる。この点については、ウェブ調査は大きなアドバンテージがあると予想される。だが一般的なウェブ調査のように事前登録したユーザーに調査依頼を行うというやり方では、回答・非回答バイアスを把握できない。そこで本課題では、郵送法と同じくウェブ調査も住民台帳から無作為抽出された調査対象者に調査協力を依頼、指定アドレスにアクセスして回答してもらうという方法をとる。調査環境の変化の中で、より効率的でより経済的な方法を採用し、なおかつデータ精度を低下させないために事前に技術や知識・ノウハウを構築しておくこと、これが本課題の目標である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画では、23年度は文献調査と資料収集、24年度に調査実施、25年度は調査結果の分析とまとめ、学会などでの公表にあてるとしていた。24年度が終了した時点での進捗はおおむね予定通りであり、調査は順調に実施され、目立ったミスもなく完了した。なお、調査の実施が予定より2~3か月ほど遅れ、そのために当初の予定では24年度のうちに完了しているはずのデータ化作業(コーディングおよび入力)が、25年度の4月に持ち越しとなっている。これは、主に標本抽出の台帳が住民基本台帳から選挙人名簿に変更となったために、年末に急に全国衆議院選挙が実施されたことで、調査実施を2ヶ月ほど遅らせざるを得なくなるという事態が生じたためである。25年4月の現時点で、この遅れはおおむね取り返しつつあり、近日中にデータ化作業が完了する予定である。 経費的な問題に関しては、調査地点の各関係機関の協力を得て標本抽出台帳に選挙人名簿を利用したことで、総額にして30万円ほどの閲覧料を節約できた。反面でインターネット調査のシステム管理およびデータの変換作業等に使用する機材に、予想よりも多めの出費を要した。したがって全体としては、予算の執行はほぼ予定通りとなっている。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度に実施した調査のうち、郵送による回収分については25年5月までにデータ化が完了し、データ分析作業を始める予定である。インターネット回答の部分については、技術的理由からデータ化に多少の時間を要する見込みであり、データ分析に着手できるのが6月ごろと予想している。夏以降は、本課題参加者同士の報告会を重ね、秋以降の各所属学会などでの成果報告および論文執筆作業を進める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
前年度からの繰越金が50万円ほどあるが、これは主にデータ化作業が年度をまたいでしまったこと(上記)による。したがって25年6月までに、この繰越金の大半が執行される見込みである。繰越金を除く25年度使用予定額60万(総額)の大半は、学会報告などの出張旅費に費やされる予定である。本課題の参加者が互いに遠隔地に居住しているために出張旅費がかさむことは、当初から見込まれていた。なお、24年度の調査実施に際して2名ほど研究協力者が現われており、彼らを研究会へ招聘するための旅費も必要となるが、これについては繰越金の残額などを使用することで、予算総額の内部で調整が十分に可能と見積もっている。
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