2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23530647
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
マリー ケオマノータム 宇都宮大学, 国際学部, 教授 (30241855)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
牧田 実 福島大学, 人間発達文化学類, 教授 (20229339)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | タイ / バンコク / 地域社会開発 / カナカマカーン・チュムチョン / 新中間層 / 都市中間層 / 新興住宅管理組合法人 / 2000年土地開発法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、タイとりわけバンコク首都圏を対象として、地域住民組織および地域諸団体の結成と連携を推し進めてきた地域社会開発政策の到達点を検証するとともに、地域住民組織(カナカマカーン・チュムチョン)が地域・住宅問題や地域福祉への取り組みにおいてどれほどの「自治」の内実をもちえているかを実証的に明らかにすることを目的とし、以下の点を明らかにすべく設計された。 1.地域社会開発政策の受け皿として用意された住民組織の地域実践が「住民自治」の内実を備えはじめているか否かを実証的に検証すること、2.地域社会政策の到達点である「市民社会」形成の論理とその政策的課題を明らかにすること、3.地域調査をとおして、地域社会における「自治」の担い手である「市民」的主体の形成ないしは阻害の条件を明らかにすること、以上である。 調査研究をとおして、タイの「住民自治」の今後を考える上で、拡大を続ける新都市中間層の動向に注目すべきとの結論を得るにいたった。そのため、新中間層のおもな居住地である郊外の新興住宅、とりわけ法人格を有する住宅管理組合に調査の重点を置き、聴き取り調査とアンケート調査を実施した。その結果、以下の知見を得ることができた。 バンコクの新興住宅地は、ゲーテッド・コミュニティである。住宅地内のインフラは、私的な共有財産であり、この管理を担うのが「2000年土地開発法」によって制度化された新興住宅地管理組合法人である。新興住宅管理組合法人は、現在のところ地域共同管理の主体として機能しているが、将来にわたって安定的に運営していくためには、人材と財政の両面で課題も多いことが明らかとなった。
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