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2012 Fiscal Year Research-status Report

戦後日本における家業経営の変容と展開に関する社会学的研究

Research Project

Project/Area Number 23530650
Research InstitutionChiba University

Principal Investigator

米村 千代  千葉大学, 文学部, 教授 (90262063)

Keywords家業経営 / 「家」 / 家族規範 / 農業思想
Research Abstract

戦前から戦後にかけての家業経営の変容過程を、経営理念や家族規範に着目して考察すること、地域性や時代の変化のなかでの差異や共通性について調査研究することが本研究の主な計画である。今年度は、まず千葉の農業経営を対象とした調査研究を行った。日本有数の農業県であり、工場の誘致先であり、かつベッドタウンであるという千葉の地域性、東京の供給地という性格が、千葉の農業経営に対して持った影響を探究した。このような地域的特性をふまえ、個々の農業経営の戦後の展開過程を家族規範や農業思想、農業教育と関連づけて調査した。特に、千葉県農村中堅青年養成所の近代農業思想と卒業生の実践についての文献調査を通して、千葉におけるムラとイエの近代化、民主化の過程を研究した。千葉では70年代より有機農業運動や産直運動が盛んであった。その一翼を担ったのは、こうした農業思想を学んだ「考える農民」たちである。他産業への人口流出が著しかった千葉という場における農業存続の模索が、反公害、反農薬の思想運動と結びつく形で千葉農業の一つの特徴を形作ったのである。
こうした戦後農業の展開は、当然ムラやイエとの葛藤も伴っていた。家族経営や家族による継承に基づきながら、新しい家族関係や地域の連帯を生み出す試みは、本研究の主題である家業と家族の変容過程そのものである。
理論研究としては、引き続き戦後日本における「家」と家族の変容過程を捉えるための学説研究を進めた。特に「家」研究が現代家族研究において持つ意味や示唆について整理し、戦後家族研究においてある時期から忘れられたテーマであった「家」を、現代的文脈から捉え直すことを試みた。単に「家」から家族へという図式では捉えきれない「家」の現在性とその変容過程を捉えるための概念整理を行った。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

現在まで資料収集、その資料をもとにした家業経営にかかわる理念や哲学の分析、さらに千葉を対象とした地域性に関する分析を行ってきた。理論面では、家族規範や意識の変動に関する理論的考察を進めた。特に24年度は、千葉における文献資料を収集、分析し、インタビューにも着手することができた。
家訓、家憲という資料は、事業体の実態や人々の意識をそのまま反映したものとは言えないが、社会に求められる理想像を抽出するには適した資料であるし、家訓集の時代毎の変化を追うことも可能である。今年度はマクロな社会変動や当該社会の倫理や道徳との関連を視野に含んだ分析を始めるための準備作業を進めた。近世から近代への変容、そして戦後への長期的変容を追うための概念枠組や分析枠組については、かなり考察が進んだので、次年度以降に向けてより考察を深めていきたい。

Strategy for Future Research Activity

引き続き、資料収集とドキュメント分析を行う。25,26年度を目処に経営理念、家族規範など理念レベルの言説分析をまとめる。
25年度には、理念レベルの資料収集、ドキュメント分析から変容過程をまとめ、並行して事業体の具体的な形態や規模、地域性の分析をさらに進める。特に個々のファミリービジネスや地域にみられるより詳細な分析へと作業を進めていきたい。マクロな変動過程を捉えると同時に、地域や規模、職種ごとの差異や多様性を把握していく。千葉での研究は継続しながら、他の地域や業種との比較考察を進める。
理論面では、使用概念や分析枠組について、かなり研究を進めてきたので、それらの知見をまとめる作業に着手する。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

引き続き資料収集のための費用(図書費と資料収集の出張)を計上している。昨年度の残額は、洋書の納品時期が年度内に間に合わなかったため、次年度に繰り越した。残額は、この資料収集費用にあてる。
出張費は、資料収集に加えて、研究討論のための国内出張を予定している。謝金も資料整理にあてるために計上している。

  • Research Products

    (4 results)

All 2013 2012

All Journal Article (2 results) Presentation (2 results) (of which Invited: 2 results)

  • [Journal Article] 千葉における戦後農民教育と農業思想2013

    • Author(s)
      米村千代
    • Journal Title

      『千葉の創造性』研究報告書

      Volume: なし Pages: 132-142

  • [Journal Article] 「家」研究の現代的意味を探る2013

    • Author(s)
      米村千代
    • Journal Title

      『境界と差異の社会学(人文社会科学研究科研究プロジェクト報告書)』

      Volume: 260 Pages: 177-189

  • [Presentation] テーマセッション「家族主義とは何か」コメント2012

    • Author(s)
      米村千代
    • Organizer
      日本家族社会学会
    • Place of Presentation
      お茶の水女子大学
    • Year and Date
      20120916-20120917
    • Invited
  • [Presentation] Comments on Patriarchy and Patrilineality(「家父長制と父系制」コメント)2012

    • Author(s)
      米村千代
    • Organizer
      比較家族史学会
    • Place of Presentation
      京都大学
    • Year and Date
      20120616-20120617
    • Invited

URL: 

Published: 2014-07-24  

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