2014 Fiscal Year Research-status Report
戦後日本における家業経営の変容と展開に関する社会学的研究
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23530650
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
米村 千代 千葉大学, 文学部, 教授 (90262063)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2016-03-31
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Keywords | 「家」 / 家族変動 / 家族規範 |
Outline of Annual Research Achievements |
26年度は、主に、国際比較のための日本の現状把握と、学説史の整理、再検討を行った。前者については、家族意識、規範と制度との間にある矛盾という観点からまとめ、インドネシア家族との比較をふまえて国際会議で報告を行った。戦後の家族変動において女性の専業主婦化を経験した日本社会と、共働き前提で社会が編成されてきたインドネシア社会を対比し、異なる社会的歴史的背景を持つ社会の今後の家族変動の動向と、制度設計上の問題について研究を進めた。 後者については、今年度まで進めてきた「家」の学説研究を単著『「家」を読む』(弘文堂2013年)として上梓した。日本の家族変動は「家」から家族へという単線的な変動ではなく、両者が世代間、地域間、階層間で差異を含みながらも併存していることとして捉える必要がある。そのことを通して、多様で複合的な現代の家族問題に接近することができるという見解を「家」に関する学説史から明らかにした。家業経営、農家経営については、戦後民法改正以降、前近代的存在として位置づけられる傾向が強まり、結果として、家業経営の戦後の変化を問う視点がしばし停滞していたことを指摘した。その意味においても、家業経営の戦後の展開を、論点や問題点を整理して捉え直すことの重要性を再確認した。 この点を千葉を対象とした地域研究において実証的に明らかにする研究に26年度は着手した。家族変動を地域および農業経営の変化を統括的にとらえ、現代の家族問題および地域問題に迫るという方法を再検討した。個別の地域研究としては、引き続き千葉を事例とした自然農業の生産者と消費者のネットワークを参与観察している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた個別の地域研究を引き続き行っている。単著の執筆と国際会議での報告にも重点をおいたため、(2)の評価とした。
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Strategy for Future Research Activity |
27年度は最終年度である。26年度に「家」の学説史上の論点はある程度整理できたと考えられるので、27年度は、研究のとりまとめとして、戦後日本という長い射程のなかでの「家」の変遷を地域や家業経営との関連でまとめることを目的とする。
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Causes of Carryover |
英語文献を取り寄せ中で年度末に間に合わなかったため次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度に英語文献購入にあてる予定である。
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