2013 Fiscal Year Research-status Report
日本的雇用慣行の変動期における職業紹介ビジネスの社会学的研究
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23530655
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
小川 慎一 横浜国立大学, 国際社会科学研究院, 准教授 (30334618)
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Keywords | 労働市場 / 社会移動 / 社会関係 / 制度 / 日本的雇用慣行 |
Research Abstract |
本年度は「労働市場の社会学」に相当する、日本における既存研究を整理し、その成果を論文として発表した。その成果「日本における労働市場の社会学――労働移動の研究を中心に」(『横浜経営研究』第34巻第1号、1-19頁、2013年)の目的は、日本の社会学において散在している「労働市場の社会学」的な既存研究を、体系的に整理することにあった。既存研究を、(1)社会移動論的アプローチ、(2)社会関係論的アプローチ、(3)制度論的アプローチの3つに分類し、それぞれの長短を含めて整理した。 (1)の社会移動論的アプローチは、戦後長らく論点とされてきた「企業的封鎖性」の検証の歴史でもあった。近年の研究によれば、日本の正規雇用層における「企業的封鎖性」は終戦直後を含めて確認が難しいことが明らかにされている。近年における関心は、正規雇用層と非正規雇用層のあいだにある、労働市場の分断の有無に置かれている。 (2)の社会関係論的アプローチは、日本の新規学卒一括採用や移民労働者の研究として知見が蓄積されてきた。また、アメリカの転職市場における人的ネットワークの機能を明らかにした研究に触発され、日本でもその機能の検証がおこなわれている。 (3)の制度論的アプローチにおいては、日本の新規学卒一括採用の慣行をめぐる、法律の変容や省庁などの利害関係者の役割に焦点を当てた研究が、充実している。移民労働者をめぐる法律の変容や省庁間の駆け引きのなか、企業がその隙間を縫って対応している様子を描いた研究も蓄積されている。 いずれのアプローチも、労働市場が社会で構造化された存在であることを強調している。正規雇用層を対象とした制度論的アプローチにそった研究は相対的に不足しており、今後の展開が期待されると結論した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
交付初年度に在外研究と重複したこともあり、その間の遅れが残されている。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は交付最終年度ということもあり、当初の想定どおりに研究を達成することは困難であることが見込まれる。研究対象である労働市場関係の既存調査や官庁統計の批判的検討や、過去の関連法令の変遷、労働市場サービス企業の歴史的変遷について、資料収集を急ぐとともに、論文として成果を出していきたい。
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Research Products
(1 results)