• Search Research Projects
  • Search Researchers
  • How to Use
  1. Back to project page

2012 Fiscal Year Research-status Report

領域的マイノリティに特有な人種差別は存在するかー西欧少数文化地域の包摂と排除ー

Research Project

Project/Area Number 23530660
Research InstitutionNagoya University

Principal Investigator

鶴巻 泉子  名古屋大学, 国際言語文化研究科, 准教授 (70345841)

Keywordsエスニシティ / 地域主義 / ナショナリズム / レイシズム / ブルターニュ / アルザス / カタルーニャ
Research Abstract

本研究は、フランスのブルターニュとアルザス、スペインのカタルーニャという三つの「歴史的地域」を例に、領域的マイノリティと移住者との関係がエスニック化(racialized/ethnicized)される社会学的条件について、一連の少数文化地域における移民研究に依拠して考えようとするものである。
(1)前年の予備調査の結果、極右政党の言説と団体活動の接点を探ることは当初予定していた三つの準都市では難しいことが分かり、次の2点について予定を変更して調査を行った。まず準都市から各種団体が多数で比較のより容易な大都市に調査地を変更した。次に2010-11年の選挙を通じて3地域で極右政党が躍進したことを受け、反レイシズムを明確に主張する団体に照準を絞り治して調査団体を選択した。
(2)フランス国内では極右政党/反レイシズム運動と地域主義言説との結びつきと、反レイシズム運動への移民出自の人々の動員について対照的様相が見られた。極右が地域主義言説を積極的に取り入れ勢力を伸ばすアルザスでは、移民排斥の言説もラジカルだが反レイシズム運動に参加する移民出自の若者も多い。反対に地域主義言説が政治色に左右されないブルターニュでは、地域主義を通じたシヴィックな包摂に関する言説が支配的なのにも関わらず移民出自者は反レイシズム運動にも地域主義にも動員されにくい。地域主義言説と実際の移民出自の人々の政治・社会的動員との乖離、極右政党の言説と国民国家における地域問題の布置について分析を進める必要がある。
(3)2012年を通じたスペインの社会変化により、国境を越えた地域間の単純な比較は難しい状況となった。カタルーニャ問題の政治化、景気悪化による移民流出、結果としての 移民問題の布置変化が背景である。ゼノフォビア言説が進展すると同時に地域外出自の人々が独立運動に動員される事態が起きており慎重な分析が必要となる。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

上に述べた調査地・対象団体の変更と、スペインでの大幅な状況変化を受けて、聞き取り調査を予定通り進めることができなかった。特にカタルーニャにおける独立気運の高まりと移民人口の流出(:ラテンアメリカや北アフリカ出身の移民が大量に出国、若年人口が国外に職を求めて移住)は、地域の各種アソシエーションにおけるレイシズムや移民統合に関する言説を大きく変化させている。同時に、既に収集した基礎的な統計が1年の間に時代遅れのものになってしまった。

Strategy for Future Research Activity

24年度における調査地・対象の変更を受け、アルザス、ブルターニュ、カタルーニャでの調査を続行して行うが、アルザスとブルターニュでは政党あるいは政治活動家についての調査が不十分であるためそれに力点を置く。聞き取りが全般的に不十分であるカタルーニャでは聞き取りを進める必要があるが、特に調査対象とする団体数と種類を増やすことで現在の急激な変化を相対化することを試みる。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

24年度における調査を補うため、25年度においても調査を十分行う必要がある。そのため研究費の多くを現地調査(8-9月と2-3月にそれぞれ4週間程度)に費す予定である。

  • Research Products

    (1 results)

All 2013

All Journal Article (1 results)

  • [Journal Article] 現代における「マイノリティ」?2013

    • Author(s)
      鶴巻泉子
    • Journal Title

      言語文化論集

      Volume: XXXIV Pages: 67-82

URL: 

Published: 2014-07-24  

Information User Guide FAQ News Terms of Use Attribution of KAKENHI

Powered by NII kakenhi