2011 Fiscal Year Research-status Report
1970年代後半の核燃料再処理工場立地計画と地域反対闘争の実証的解明
Project/Area Number |
23530673
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
樫本 喜一 大阪府立大学, 人間社会学部, 客員研究員 (10598965)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 原子力政策 / 日本現代史 |
Research Abstract |
70年代後半に持ち上がった使用済核燃料再処理工場立地計画の内容と地域住民による反対闘争の実態調査・分析というテーマに即した研究計画上の現地調査に関し、夏季休暇中に一度、奄美群島の徳之島へ長期出張し、一次史料収集と関係者への聞き取り調査を行った。今回の調査では、奄美・徳之島地域出身者による首都圏近郊といった都市部での活動を記録したものを含む文書資料を多数発見するなどの成果を得た。また、期間中東京在住の関係者への聞き取り調査も行った。科研費による研究を開始する以前の予備調査を含めて、現在までに判明した内容を一本の論文にまとめて発表した(査読付)。これまで、徳之島の事例を含み、実現しなかった使用済核燃料再処理工場の立地計画とそれに対する反対運動の実態に関する調査は殆ど手付かずであり、第一報を発表したことは、日本の原子力史を考察する上で有意義な知見を付け加えられたと考える。福島原発事故後、現時点で焦点化しつつある核燃料サイクル政策を今後も継続するかどうかという社会的な大問題に対し、本研究は、その是非を一般国民が判断するための材料を提供することができると思われる。今後も適宜、情報発信を速やかに行うことが重要であると考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨年(研究初年度)の夏季休暇中、交通事故の被害者となり、一か月の入院と以後週3日の通院リハビリが必要となった(利き腕の右腕の複数箇所骨折その他)。現地調査などの身体に負担がかかる研究活動につき半年間の停滞を余儀なくされた。以上の理由により、当初の計画よりやや遅れることとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
研究2年目は、上記の研究計画の遅れの原因となった負傷の回復を見ながら、調査研究に費やす時間を多く取って、本来の計画に沿った調査研究となるよう挽回するべく、進捗速度を速める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初、初年度に行う予定であった奄美群島を含む南西諸島への調査を、次年度調査計画予定であった北海道奥尻島などの調査と並行させて行う。調査予定の再処理工場立地計画場所は、日本各地の離島(徳之島・西表島・奥尻島)などであり、その現地調査のための出張旅費が研究費の主な出費となる。(怪我のため)初年度に調査できなかった場所へ次年度以降出張するため、必要とされる研究費総額は当初の必要額と同じである。
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