2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23530679
|
Research Institution | Ryutsu Keizai University |
Principal Investigator |
恩田 守雄 流通経済大学, 社会学部, 教授 (00254897)
|
Keywords | 互助ネットワーク / 共有地(コモンズ) / ユイ / プマシ / 頼母子 / 契 / モヤイ島 |
Research Abstract |
当該年度の研究は主として中国の互助慣行について調べ、日本との相違点と類似点を明らかにすることであった。そのため中国の互助関連の文献を参考にするとともに、東北部と上海近郊の農村で聞き取り調査を行った(2012年9月、2013年3月)。その結果社会主義に基づく国家の公助が強く、地域住民の共助は日本および韓国に比べ弱いことが明らかになったが、その一方で社会主義以前からあったと推測される地域住民どうしの共同体意識に基づく支え合いは冠婚葬祭などにまだ見られる。しかしそれらも近代化(生産および生活様式の変化)により衰退しつつある。この直接の研究成果は2013年度10月刊行の大学紀要にて発表する予定である。 なお前年度の研究成果として、韓国の互助関連の文献精読と半島内部の農村や島嶼地域(全羅南道)での聞き取り調査(2011年9月、2012年3月)から、日本のユイと韓国のプマシ、日本の頼母子(無尽)と韓国の契を比較し相違点と類似点を明らかにしたが、さらにそのフォローアップの現地調査を当該年度で行った(2012年8月)。特に共有地(コモンズ)活用の仕組みが新たな知見として得られ、門中内の生活困窮者を救済するため共有地を貸す慣行が存続し、また共有地としての属島を小学校に付与し海産物の販売代金を学童費用に充当する、あるいは共同所有する村落が同様に小学校の必要費用を捻出してきた韓国の「モヤイ島」の存在を明らかにした点は大学紀要『社会学部論叢』にまとめている(2012年10月刊行)。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度の韓国の現地調査に基づく研究成果を当該年度で紀要論文として発表し学会(日本社会学会)で報告を行った。なお東日本大震災後の地域社会の互助ネットワークの変容が本研究にとっても重要と考え、東北3県と他の被災地で地震や津波の被災者および原発事故避難者への聞き取り調査を基にコミュニティ意識から捉えたつながりや絆について、学会の機関誌(日本計画行政学会)に発表するとともに国内外で学会報告(ISA<International Sociological Association>、経済社会学会)をした。
|
Strategy for Future Research Activity |
当該年度で中国の調査を終えたとは言え、まだ十分実態を把握し切れていないところもあるためフォローアップの調査を予定しているが、次年度はこれまで同様互助関連の文献精読に加え、主に台湾での現地調査を予定し(2013年9月、2014年 3月)、台湾の互助慣行と日本のそれとの比較に重点を置いた研究を進める予定である。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
|
Research Products
(6 results)