2014 Fiscal Year Research-status Report
個人化する社会の「看取り」:その担い手と受け手の日仏比較研究
Project/Area Number |
23530680
|
Research Institution | Chiba Keizai University |
Principal Investigator |
佐藤 典子 千葉経済大学, 経済学部, 准教授 (10401580)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2017-03-31
|
Keywords | 国際情報交換 フランス / 看護師等 / ケア / 過労 / 労働環境 / ジェンダー |
Outline of Annual Research Achievements |
大学のホームページ上に作ったサイトに、看護職の過労問題に関心の深い研究者、現役看護師、元看護師などの方からのアクセスがあり、この問題について広く関心がもたれるようになったと考えている。 また、定期的に、看護職者の過労やワークライフバランスについての勉強会や関連テキストの読書会、討論会を実施し、広く意見を募り、インフォーマントを中心にこの問題についてどのような考察がされているのか考えることができた。 インターネットを通じて過労問題について関心のある現役看護師と連絡を取り、問題関心を共有しながら、インタビューの応募していただいた研究協力者のもとに行き、現状と課題について伺った。そこでは、地方ごとによって看護職者の抱える問題(看護師不足の現状とあり方の違い)や病院組織としての取り組みも異なることに気付くことができたので新たな課題とすることができた。 また、紙ベースのアンケートだけではなく、インターネット上のアンケートを行うに際してのシステム作りとアンケート項目の精査などについても検討を行った。 さらに、これまでのマクロデータのまとめとインタビュー調査の結果を学会発表などを通して行ってきた事柄について、一つの論文としてまとめ、発表した。それは、ケアを行う看護職員たちの病院での過労と離職の状況と10年後に最も懸念される2025年問題(後期高齢者の増加)に際して、ケアの担い手と受け手がどのように変化し、またシステムを構築するべきかについて考察したものである。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
26年度は、会場を借りて、勉強会も行い、読書会なども通して、広くインフォーマントの意見を知ることができ、意見交換などができた。次年度にもさらに続けていく計画がある。 インターネット応募によるインフォーマントのもとに赴き、仕事の状況と実際の病院の運営なども知り、新たな知見が得られた。 フランスでの比較調査に関しては、年度末の渡仏を予定していたが、現地でのテロの問題やインフォーマント予定者がエボラ出血熱などの対応に専念せざるを得ないなど、不測の事態によって延期せざるを得なかったものの、来年度に渡仏予定で、調査、インフォーマントの確保なども順調で、現地での本研究に関する講演も予定されている。 インターネットによるアンケートのプログラムもシステムの構築とアンケート項目の精査も順調に行い、完成間近である。予算的には、年度末に完成する予定であったアンケートプログラムが次年度に持ち越されたため、実際の予定金額よりも多い額が残っている。
|
Strategy for Future Research Activity |
引き続き、定期的な勉強会を催し、現在、先行研究のマクロデータやこれまでの調査などで得られた情報、知見、厚生労働省や日本看護協会、医労連、女性団体などが定期的に提供している調査結果や取り組みなどのデータの精査以外の新たな情報にも目配りしたい。 そのことによって、精度の高い、インタビュー調査、アンケート調査を行い、病院で個々に行われているワークライフバランスや個人の努力などだけでは解決、変更できない、看護職者が過労に至る真の原因を探ることができると考えている。 また、このような研究、取り組みを内外に広く知らしめ、看護職や病院、医療関係者などだけの問題ではなく、社会全体の問題として共有することで、従来にはないやり方で問題の解決を図りたい。 実際には、ホームページのコンテンツを充実させ、利用しやすさを図ることで、新たな研究協力者を得ることに尽力したい。さらに、そのネットワークを広げていく試みを行いたいと考えている。
|
Causes of Carryover |
大きく分けて二つある。その一つは、26年度に大きな予算として割り当てていたインターネットプログラムの作成が翌年度にまたがって、次年度の生産となったということである。 もう一点は、比較研究の対象国であるフランス・パリでの調査のための渡航費用を予算化しているが、2014年のエボラ出血熱での対応によって、インフォーマントとの予定が合わず、また、2015年1月のテロによって、26年度中の渡航の予定が立たなかったため、やむを得ず、次年度に持ち越されたことが理由である。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
インターネットのアンケートプログラム作成のための予算とそのプログラムがスムーズに機能するかについて随時、調整、検討を行う。それには、システム運用だけでなく、内容の検討も含んでいる。 また、フランスに渡航して、予定であった日本との比較研究のためのインタビュー調査などを行う。現地で、日本の現状についての講演会に招待されているので、フランスでの状況ても知見を広められる機会と考えており、それにも予算を充てたいと考えている。
|
Remarks |
看護の社会学 看護師の働き方は、社会にどのような影響を与えているか? http:/www.cku.ac.jp/sato/
|