2012 Fiscal Year Research-status Report
若者の「外向き志向」を支援する社会に向けて:グローバル化の中の「仕事‐自分探し」
Project/Area Number |
23530682
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Research Institution | International Christian University |
Principal Investigator |
加藤 恵津子 国際基督教大学, 教養学部, 上級准教授 (10348873)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久木元 真吾 公益財団法人家計経済研究所, 研究部, 次席研究員 (10470105)
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Keywords | 若者 / 海外移動 / 自分(探し) / やりたいこと / 仕事 / グローバル人材 / 日本 / オーストラリア |
Research Abstract |
(1)研究代表者による海外現地調査二回、(2)研究分担者による統計調査一回を行った。 (1) 平成24年8月、25年3月に、各二週間ずつシドニーに滞在、若い日本人一時滞在者(計26人)へのインタビュー、および現地日本人専門家との意見交換を行った。8月の滞在中には、オーストラリア・アジア学会(於ウェスタン・シドニー大学)で口頭発表、オーストラリア人研究者と英語で意見交換を行い、日本語の「自分探し」と英語の「self-help」との違いは何かなど、複眼的な視点を得ることができた。翌年3月の滞在中には、一時滞在者とほとんど関わりがない日系人移民団体、日本人駐在員や企業の団体の代表者にあえてインタビューすることで、歴史的・社会的により広いコンテキストに「若い一時滞在者」を位置づけることができた。さらに「グローバル人材」という語をどう解釈し、どの程度自分に関係あると思うかについて、若い一時滞在者と、日本企業関係者の双方にインタビューし、この語の指すものの曖昧さ、若者にとっての空虚さを知ることができた。 (2) 研究分担者は、平成24年12月、(同年3月に続く)二度目のインターネット統計調査を、日本在住の25~39歳の未婚者に対して行った。前回が「海外経験者」(回答1236件)を対象としたのに対し、今回は「海外経験のない者」を対象に、824件の回答を得た。二つのグループを比較すると、海外経験がある者の方が現在の生活への満足度が高く、未来に対しても明るい展望を持っているのに対し、海外経験のない者には、現在・将来ともに不安や悲観的な見方が強いことがわかった。ただしこの違いには、海外経験以前の学力や資力の高さなどが影響している可能性があるため、最終的な分析の際には、記述式自由回答をふくめ、データの詳細を包括的に見ていく必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(1)海外フィールドワークにおいては、カナダ・バンクーバーにおける過去10年間のインタビュー人数(120超)に少しでも近づけるべく、シドニー訪問を二回にして、昨年度からの累計で34人のインタビューデータを獲得している。(2)国内の統計調査を、すでに二回行い、海外経験の有無による日本在住の若者一般の人生観の違いについて、貴重な知見を得ている。(3)まだ調査が進んでいないのは、ワーキング・ホリデー帰国者へのインタビュー、および若者の「外向き志向」(「グローバル人材」養成)を促進しようとしている日本の経済団体や政府機関へのインタビューである。特に政府機関の見解については、政権が交代したため、現政権の枠組みでの最新のインタビューデータを得る必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)あと一回シドニーを訪問し、最終的にシドニーでは累計50人のインタビューデータを獲得したい。(2)必要に応じて、追加の統計調査、またはすでに得た統計データのさらに詳細な分析を行いたい。(3)ワーキング・ホリデー帰国者、政府機関、経済団体(経団連、経済同友会など)へのインタビューを行いたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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