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2012 Fiscal Year Research-status Report

オーラルヒストリーによる日本イタリア料理の産業史と労働史に関する研究

Research Project

Project/Area Number 23530686
Research InstitutionTaisho University

Principal Investigator

澤口 恵一  大正大学, 人間学部, 教授 (50338597)

Keywordsライフコース / ライフヒストリー / 移民 / イタリア / 飲食業 / 労働
Research Abstract

本年度はオーラル・ヒストリーの収集を国内・国外にて集中的に実施し、その分析を行った。国外では、9月3日~14日にかけてイタリア中部(トスカーナ州、ウンブリア州、ローマ)に滞在し日本人コック・関係者13名から個人もしくはグループによる聞き取りを行った。また過去にインタビューを行った人物、イタリア人シェフ、日本人コック5人から短時間での聞き取りを行うことができた。さらに2月14日から26日にかけてイタリア北部(トレンティーノ・アルトアディジェ州、ピエモンテ州、ロンバルディア州、ベネト州)に滞在し、4人からオーラルヒストリーの聞き取りを行うとともに、イタリア人の研究者1人、2回目の聞き取り1人、5人のコックとの面談、日本人コックの働くレストランの視察を行った。これにより、長期滞在者の生活・労働の実態、移民労働者としてのアイデンティティ、現地でのレストラン経営の実態をあきらかにすることができた。またインタビューや視察のこれまで対象としてこなかった地域での調査を実施したことにより、地域性による違いについて理解を深めることができた。国内では、長年レストラン取材をしてきたジャーナリスト、70年代に渡航しホテル学校で学んだコックからの聞き取りを実施した。これらにより70年代から80年代のイタリアのレストラン産業の革新、ホテル学校における日本人受入の実態をあきらかにできた。また7月から9月にかけて、レストラン経営者14人へのインタビューを実施し、国内におけるレストラン経営・労働の実態を把握した。さらに国会図書館での料理雑誌の資料収集、辻静雄料理研究所での「ミシュラン」バックナンバーの閲覧)資料収集により、日本・イタリア両国におけるレストラン産業の変遷について把握することができた。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

1: Research has progressed more than it was originally planned.

Reason

多くの関係者の支援と協力により、当初計画していた以上のペースでインタビューを進めることができている。研究を開始した当初にインタビュー対象者の候補としてあげていたイタリア長期滞在者は、すでに調査を終えることができた。また、イタリアにおける地域性の把握という面についても、今年度までに北部、中部での主要な調査地での調査や視察を終えることができている。国内、国外の研究者との連携の可能性がみえてきたことも今年度の大きな成果である。日本におけるピザの歴史と日伊の交流史、ピザ職人の労働研究を行っているイタリアの社会学者とイタリアで面会し、調査についての意見交換や協力体制について検討をすることができた。昨年度まではイタリアにおけるレストラン産業の70年代以降の変遷については把握することが困難であった。日伊双方にそれを概括した文献をみつけることができなかったためである。しかし、今年度に行った、現地ジャーナリストへのインタビューや日本における料理雑誌の資料収集によって、その全体像を捉えることができた。また辻調グループの協力により、ミシュランのミシュランを閲覧させていただいたことによって、信頼できる一次的資料からイタリアにおける70年代以降のレストラン産業の変遷を俯瞰することができるようになった。またイタリアにおいて独立開業している日本人コックへのインタビューを継続的に行ってきたことにより、イタリアにおけるレストラン経営の難しさ、とりわけ外国人が経営者となることの難しさを把握することができた。

Strategy for Future Research Activity

今後もイタリアでのインタビューを継続していく必要がある。(1)現地で結婚をした日本人女性コックからジェンダーをテーマにした聞き取りを実施していく予定である。(2)南部、中西部でのインタビューは当初想定していたほど長期滞在者が多くないこともあって、集中的に実施することは困難であるといえる。規模を縮小しつつも地域性をあきらかにするために現地でのインタビューを実施する予定である。また国内でのインタビューとしては、早期に渡航をしたコック層を中心に、これまでの聞き取りを補完するためのインタビューを実施する予定である。今年度からインタビューのトランスクリプト分析にQDA支援のためのソフトウェアとしてNvivoを導入した。今年度以降はより本格的にインタビューの分析のためのツールとして活用をしていく予定である。分析を進めるなかで、国内のイタリア料理産業の発展を理解するうえで、内発的発展、経路依存性、国内国外のコンテクストと制度的変容を可能にしたタイミングというテーマがうかびあがっている。フランス料理、スペイン料理、イタリア料理は日本においてそれぞで異なる発展の形態をとってきた。イタリア料理産業の発展経路の独自性を強調するためには、国内におけるフランス料理、スペイン料理の発展と比較をする必要があると考えている。
なお一次的データの収集が進んだことにより、本格的な研究発表を今後は継続的に行っていく予定である。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

該当なし

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Published: 2014-07-24  

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