2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23530687
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
山田 昌弘 中央大学, 文学部, 教授 (90191337)
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Keywords | 国際結婚 / アジア / グローバル化 / 日本の雇用慣行 / 女性差別的職場 / グローバルファミリー / 男女交際 / 女性の活躍 |
Research Abstract |
本年度は、インタビュー結果の分析とともに、研究協力者とともに、香港とシンガポールにおいて、国際結婚をしている日本人女性への補充調査、及び、研究者との研究結果の検討を行った。 3年の調査を通じて、近年の日本女性のアジアでの国際結婚が増えている理由を検討してきた。その最大の理由は、グローバル化であるが、グローバル化だけでは、女性のみが海外での国際結婚が増えている説明にはならない。これは、日本と海外、特に、欧米やアジアの新興国における「女性の経済活躍度」及び「雇用慣行」が大きく影響していることが分かった。 日本の多くの企業は新卒一括採用、かつ、女性差別的環境がいまだ存在している。そこからこぼれた人は、いくら能力があっても日本企業の中では活躍する機会が極度に狭まる。それゆえ、大学院で学んだ女性、海外留学した女性、退職して別のキャリアを探す女性などが、日本の企業の中に吸収されず、海外に働きの場を求める傾向がある。つまり、日本の雇用の硬直性、そして、女性差別的環境が、特に能力がある女性をさまざまな形で海外にチャンスを求める要因となっていることがわかった。 もう一は、恋愛結婚環境の違いである。日本においては、近年、結婚・恋愛など男女交際が不活発化している。一方、欧米、そして、調査対象地であるアジア新興国でも男女交際はむしろ一般的になっている。日本における男女交際の不活発化が、特に、個人で海外にチャンスを求めた日本人女性を結果的に、国際結婚するチャンスの増大をもたらしていることが分かった。 そして、結果的に、国際結婚した彼女たちは、どちらの国に同化するのではなく、グローバルファミリーと呼ぶことができるような家族を形成しているケースが多い。しかし、子供の教育、老後など、すべて不確定な要素をかかえており、将来のモデルがないという悩みを抱えている。
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Research Products
(1 results)