2011 Fiscal Year Research-status Report
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23530692
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
相田 利雄 法政大学, 社会学部, 教授 (90061217)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
永田 瞬 福岡県立大学, 人間社会学部, 講師 (70550440)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 繊維産業 / 技能継承 / 人材育成 / 岡山県 / 広島県 / 中小企業 / 熟練 / デニム |
Research Abstract |
本研究の目的は、繊維産業における技能継承と人材確保・育成の課題を明らかにするとともに、次世代の繊維産業を担う人材像を明示しその人材の確保・育成策を探究することである。2011年度は、岡山県倉敷市・井原市・岡山市ならびに広島県福山市の繊維関連企業、専門学校、行政機関において技能継承と人材確保・育成に関するヒアリング調査を実施した。当初は倉敷市のみを想定していたが、取引関係や人材交流のある周辺地域への調査をする必要性が生じた。本調査によって、以下の課題を明らかにすることができた。 1.技能継承:洗い加工や染色などにおいて熟練された技能を要することが分かった。これらの技能を身に付けるためには長い年月を要する。また、これらの技能は容易に海外へ移転することができない。そのため国内での技能の維持と発展が求められる。しかし、熟練労働者や経営者の高齢化、若手経営者や労働者への技能継承が課題となっている。 2.人材育成:こうした理由から、繊維産業に精通した人材の確保と育成が求められる。企業や行政は、若年層が定着しやすい環境の整備、技能を伝承するための環境の整備、企業の垣根を越えた人材確保・育成・交流の場の整備、若年雇用者の増加の促進する取り組みを行っている。また専門学校でも、地域の企業などと連携した授業を展開している。これら一連の施策や取り組みの成果が明らかになりつつあるが、これらに関しては今後さらに深い調査研究が必要である。 3.社会的認識:繊維産業は金属産業や機械産業などと同様に、地域産業としての役割を担ってきた。しかし、他産業と比べて衰退産業との見方が強く残されている。それゆえに、産業としての魅力、企業、労働者、技能に光が当たることが少なかった。しかし、経営者らが口々にいうように「衰退産業としての見方をするのではなく日本のものづくり」として社会的認識を高めることも重要な課題である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、実態調査が中心であり、被調査者が本研究のために調査にご協力いただいたことなどから、おおむね順調に進んでいるといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
2011年度には、企業、専門学校、行政機関に対する調査が中心であった。2012年度もそうした調査機関への調査は継続する。同時に2011年度までは、労働者への調査が不足したことは否めない。次年度以降は、労働者への調査をこれまで以上に行う必要がある。また、これまでの調査で自らブランドを立ち上げた若手企業家の存在も明らかになったので、若手企業家に対する調査も行う必要がある。これらの新しい調査対象に関しても、これまでの調査対象であった企業や専門学校などから紹介していただける予定である。企業の中には、本研究に興味を抱いている企業もあることから、今までの調査過程における信頼関係に依拠して新しい調査は可能であると考えられる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本調査研究は繊細産業における技能継承と人材育成をテーマとしていることから、繊維関連企業や行政機関などに対する実態調査が基本となる。そのため、本研究において最も費用を要するのが国内旅費である。2012年度においても国内旅費が支出の中心となると考えられる。その他の費目では、研究用書籍やプリンタ用インクなどの物品費、被調査者やゲスト招聘のための謝金が必要となる。
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Research Products
(9 results)