2011 Fiscal Year Research-status Report
都市農業の「持続可能性」と社会的ネットワークの再編に関する比較研究
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23530693
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Research Institution | Shizuoka University of Art and Culture |
Principal Investigator |
舩戸 修一 静岡文化芸術大学, 文化政策学部, 講師 (00466814)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西城戸 誠 法政大学, 人間環境学部, 准教授 (00333584)
図司 直也 法政大学, 現代福祉学部, 准教授 (60442563)
黒田 暁 法政大学, その他部局等, 研究員 (60570372)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | 都市農業 / 持続可能性 / 農業用水 / 地場産学校給食 |
Research Abstract |
当該年度の業績は、以下の二点に集約される。一つ目は、都市(首都圏)における農業用水路を維持管理する主体である用水組合員の意識調査である。そもそも用水組合は水稲農家である組合員によって構成されていた。しかし「都市化(宅地化)」や「土地区画整理事業」に伴う農地減少によって離農する組合員が増えていった。また農業を続ける組合員もいるなかで、水田を畑に転換し、水稲作を放棄する組合員も現れた。こうした都市農業をめぐる状況が激変するなか、農業用水路としての機能を喪失していったのである。しかし一方で、離農あるいは野菜栽培にシフトしても組合員をやめることなく、現在も用水路の維持活動に積極的に参加している組合員が数多くいる。そこで現在の農業用水路に対する意識や関わりについて非農家も含む組合員への聞き取り調査を行った。この調査の結果から都市における土地(農地)利用状況、農業者の営農環境や経営状況ならびに土地(農地)利用に対する意識や行動が明らかになった。二つ目は、都市(首都圏)において学校給食に食材を供出する都市農家の意識調査である。昨今、都市では「地場産学校給食」の取り組みが展開されている。学校給食への地元農産物の出荷は都市農家にとって確実な販路になるため、地場産学校給食は都市農業の振興あるいは活性化の有効な方策として位置づけられている。しかし東京都日野市では学校給食に農産物を供出する農家は減少する一方である。そこで地場産学校給食に参加する都市農家への聞き取り調査を行った。この調査の結果から、確かに学校給食へ農産物を出荷することは農家経営にプラスになっているが、出荷に手間や時間がかかるため、かえって負担になっている現実が明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまで用水組合員への聞き取り調査を通じて都市における土地(農地)利用のあり方や現況、農業者の営農環境や経営状況ならびに土地(農地)利用に対する意識や行動が明らかになった。また「地場産学校給食」に参加する都市農家への聞き取り調査を通じて都市農家から見た学校給食の現況を明らかにした。このような研究内容は、もともと本研究の一年目の計画段階で想定していたものであり、本研究の基盤的知見を形成するものである。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、都市農業における「援農ボランティア」を中心に研究を進める予定である。都市農業の「持続可能性」を考える場合、農業者(生産者)だけではなく、市民(非農家)による都市農業への理解や協働が必要である。そこで日野市、町田市、八王子市など都市(首都圏)の援農ボランティアについての調査を踏まえ、その可能性と課題を明らかにする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
上記のフィールドワークを遂行するためには、勤務地(浜松市)から調査地(東京)に向かう交通費が必要である。よって研究費の使用内訳としては交通費を主に計上した。
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Research Products
(1 results)