2011 Fiscal Year Research-status Report
マラリアと貧困の社会疫学的研究ー地球気候変動とパンデミックの関係性の観点からー
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23530704
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Research Institution | Bukkyo University |
Principal Investigator |
満田 久義 佛教大学, 社会学部, 教授 (60131306)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | マラリア / インドネシア / ロンボク島 / 社会疫学調査 / 地球環境変動 / 絶対貧困 / 住民参加 / 国際情報交流 |
Research Abstract |
1、2011年8月、インドネシア・ロンボク島のKorIek地のLabuan Haji, Batuyang, Labuan Lombok,Aikmel村とKeruak地区のSukaraja,Pijot,Tanjung Luar Batu Namparv村における小学校各1校の最上級生とその母親を対象とするマラリア感染拡大と経済社会的貧困に関する社会疫学的調査を実施した。特に、マラリアに関する知識・関心・行動がどのような社会学的要因で規定されるか、さらに地域間比較や母子間比較、社会経済的地位の比較分析した。マラリア社会対策の基本的な情報を収集した。2、同年9月、ヌサ・チェンダナ大学医学部との共同研究として、ティモール島とパンタール島におけるマラリア・コントロールプログラムの予備調査を実施。同地域のマラリアに関する基礎データの収集。2012年度にマラリア制圧プログラムを予定する感染率が極めて高率なWetar島の社会疫学調査の可能性ついて議論した。3、2011年10月,ベトナム政府及び国連主催 International Forum on Agricultural and Rural Development, Hanoi, 9-10 November 2011に招聘され、同会議において、(1)Rethinking Rural Out-Migration: Japanese Experiences and Lessons for Vietnum New Rural Policy(2)Malaria Eradication and Community Empowerment: Lessons from an International Collaboration on Malaria Control Program between Japan and Indonesiaの論文発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
【1】インドネシア・ロンボク島でのマラリア社会疫学調査は、過去5年間の共同研究の実績があり、マタラム大学医学部との協力体制も確立しており、順調に進展した。とくに、調査対象地域の地方政府と小学校の全面協力がえられ、当該小学校での社会疫学調査と血液調査はほぼ完了し、質的データ収集も行った。今後はデータ統計的解析と面接調査データの質的分析を予定している。【2】本科学研究費による研究成果報告として、10月にInternational Forum on Agricultural and Rural Developmentにおいて、論文発表(中間報告)と討議をおこなった。【3】ヌサ・チェンダナ大学とのマラリア制圧国際共同研究であるWetar島での社会疫学予備調査を3月に実施予定であったが、地方政府の調査許可が遅延し、一部の村での血液調査のみを実施した。そのマラリア診断キットによる血液検査結果、対象地域のマラリア感染率が想定を超える40%の高率であり、感染予防策を厳重にする必要が出てきた。また地方政府の全面協力が不可欠であるが、同島が首都アンボン市から隔絶され、交通機関がないために調査員(マラリア専門員)の確保が極めて困難であることが判明した。今後の予定として、同島の24集落のうちで、マラリア感染率が比較的安全な集落(村)に対象を選択限定するか、調査対象をより感染リスクの少ない地域に再設定するかの判断が必要となる。そのために、ヌサ・チェンダナ大学との情報交流を頻繁に行い、基礎データの収集を急いでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
【1】マラリア制圧のためのプログラムに沿って、8月9月にインドネシア・ロンボク島とティモール島とWetar島において、マラリア社会疫学調査を実施する。ロンボク島では追跡調査によって、データ処理の結果を追証する。本年度は、2006年にマラリア社会疫学調査を実施したクロワル地区スコトン村において、観光による経済開発がマラリア制圧に及ぼす効果について追証調査を実施する。【2】ティモール島周辺のマラリア感染地域として、Rote島でのマラリアに関する基礎データの収集と社会経済調査を実施する。Wetar島については、マラリア対策を慎重に検討することで、可能な限りマラリア社会疫学に関する本調査を実施する。その際、マタラム大学とヌサ・チェンダナ大学医学部との間で、マラリア専門員の募集と研修体制について、学術交流協定の締結を目指す。【3】昨年度予備調査を実施したアロール島とパンタール島でのマラリア社会疫学調査実施の可能性を検討する。これは、Wetar島とRote島での調査が困難となった場合の代替案を確保するためである。【4】過去5年間のマラリア社会疫学調査(CBDESS)をアーカイブ化する。さらに時系列、地域横断、社会学要因別にデータ集計し、それを基に、マラリア感染拡大と社会学的要因の因果律を統計的に明らかにする。【5】2012年8月にWorld Forum of Sociology, Aug.1-4, Buenos Airesにおいて、論文発表を行う予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度直接経費90万円と前年度繰越金90万円の総額180万円を予算とする。平成24年度の主な経費は、8月9月にインドネシア ロンボク島とティモール島などで実施するマラリア社会疫学調査に関わる費用である。その主な内容は(1)外国旅費(2)謝金(3)その他であるが、その詳細は以下に示す。【1】調査研究旅費(43万円)として、(1)渡航滞在費(日本研究者1名のインドネシア往復エコノミー航空運賃@15万円+滞在費@1万円×20泊分)(2)インドネシア国内研究打ち合わせ旅費(インドネシア研究者1名@1万円×5泊分)(3)研究成果発表旅費(同3泊分)などとして、43万円を計上する。【2】マラリア社会疫学調査謝金等(24万円+90万円)として、(1)調査補助者謝金(マラリア専門員に@5千円×20名×8日分)(2)医学的知識など専門知識提供謝金(@5万円×5名)(3)データ解析料(@3千円×5名×6日)など総額114万円を計上する。なお、昨年度繰越金90万円を充当する。【3】その他3万円の内訳は、主に現地許可申請費と海外通信費と現地会合費(各集落での打ち合わせ)と調査票・研究成果の印刷費である。次に【4】国内旅費については、(1)調査研究旅費(東京での資料情報収集。@5万円×1回)と研究打合せ旅費(東京での研究会出席。@5万円×1回)と学会発表費(@5万円×1回)を間接経費として予定する。【5】設備物品費120万円については、PC関連機器などの購入費などを予定する。
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