2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23530706
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
宮本 直美 立命館大学, 文学部, 准教授 (40401161)
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Keywords | 音楽社会学 / 公共性 / コンサート / 芸術宗教 |
Research Abstract |
平成25年度は引き続き様々なコンサート形態の調査を続けるとともに、コンサートと公共性の問題を成果の一部として英語で発表した。そのまとめにあたっては、公共性議論の重要な先行研究であるJ.ハーバーマスの「文芸的公共性」の再考を行った。『公共性の構造転換』(原語初版1962)で提示されたこの概念は、政治的公共性に至る「討議の練習場」として副次的に位置づけられていたが、その後の彼の議論の若干の変更点や最近のハーバーマス研究を含めて検討し直した。本研究は音楽コンサートという独自の形態から、文芸的公共性を市民的公共性の単なる前段階としてではなく、むしろ市民社会以前の公共性との連続性を保持している可能性を解明した。この公共性はこれまでの「芸術宗教」概念とは異なる角度から見た音楽芸術の宗教性につながる。 成果の一部の発表後の新たな問題として、その宗教性には「再現前性」と、それに深く関わるバロック的な表象、そして劇場性などのファクターが生じた。これらについては、コンサートの多様性と合わせて今後、引き続き調査および検討をしていく予定である。 多様なコンサートの調査という点では、19世紀のパリおよびロンドンでのミュージック・ホールの調査を開始し、これまでの音楽史ではほとんど扱われてこなかった娯楽ジャンルとしてのコンサートを考察した。その成果の一部はレヴューというジャンルの問題として日本語論文で発表した。またその一方で「音楽とジェンダー」をテーマとしたオーストリアでの国際会議に出席し、ジャンルとしてのレヴューについて、西洋と日本との比較の視点から研究発表を行った。
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Research Products
(4 results)