2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23530713
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Research Institution | Konan Women's University |
Principal Investigator |
芦田 徹郎 甲南女子大学, 人間科学部, 教授 (20151053)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 芝居小屋 / 祝祭(性) / 地域文化 |
Research Abstract |
本研究は、全国各地の伝統的な芝居小屋が高度経済成長期前後に経営不振と老朽化によってそのほとんどが消滅する中で、解体または倒壊の寸前にまで追い込まれながら奇跡的に再生を果したいくつかの事例に即して、「祝祭空間」の蘇生の現代社会論的な意味と意義を文化社会学的ならびに地域社会学的に解明しようとするものである。より個別的には、次のような研究課題を設定している。 (1)芝居小屋復興の地域社会的要因:芝居小屋は、なぜ、いかにして、再生されたのか。(2)復興した芝居小屋の活動/活用実態:現代の祝祭空間は、どのように立ち現れるのか。(3)芝居小屋復興の地域社会へのインパクト:祝祭性と日常性は、いかに切り結ぶのか。(4)芝居小屋復興の現代社会論的意味:現代人は、芝居小屋の祝祭性に何を求めるのか。 当年度は、熊本県山鹿市に残る「八千代座」に焦点を絞り、上記の個別課題を意識しながら、他の地域文化の活性化もしくはその活用状況とも絡めながら、集中的な現地調査を実施した。八千代座に焦点を当てたのは、(1)この芝居小屋についてはこれまでの予備調査がそれなりに進んでいたこと、(2)その復興再生の過程がとりわけドラマチックであるように思えること、(3)建築100周年を迎えて多数の記念行事が催されるとともに芝居小屋復興と活用の意味を問い直そうという気運が地域住民自身の間にみられること、などのためである。 現地調査のための研究出張は延べ12回(うち山鹿市は9回)に及んだが、この芝居小屋に限ればその復興の事実経緯及びそのを可能にした要因はほぼ把握できたと考えている。次年度は、研究調査の対象を他の芝居小屋と地域社会にまで広げ、より普遍的な知見を得たい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「研究実績の概要」に記したとおり、本研究課題にとってもっとも重要な研究事例と位置付けている熊本県山鹿市の八千代座の復興と活用の事実経緯及び現状についての調査(主として文書・映像資料の収集と観察調査)を精力的に進めた結果、研究課題を解明する道筋をほぼ見通すことのできる段階にまで来たと判断しており、おおむね順調に進展していると言える。 ただ、かなうならばこの時点において研究の中間報告的なペーパーをまとめてみたいという目論見を持っていたが、膨大な収集資料の整理と分析がおいつかず、今のところ実現に至っていない。この点はありうべき最大限の達成度からはいくぶん割り引かねばならないと自覚している。
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Strategy for Future Research Activity |
熊本県山鹿市の「八千代座」に焦点を当てた当年度の研究成果をふまえ、今後は他の芝居小屋と地域社会の実態調査にまで事例研究の対象を広げる予定である。候補としては、秋田県小坂町の「康楽館」、栃木県みどり市の「ながめ余興場」、石川県七尾市の「でか小屋」、兵庫県豊岡市の「永楽館」、香川県琴平町の「旧金毘羅大芝居(金丸座)」、愛媛県内子町の「内子座」、福岡県飯塚市の「嘉穂劇場」などを考えている。 また、八千代座についても、これまでの文書資料と観察を主とした調査からインタビューなどに力点を移して関係者の内的世界の把握にも努めたい。 加えて、祝祭論をはじめとする現代文化についての諸理論を批判的に検討することによって、芝居小屋復興の意味と意義についての現代社会論的なパースペクティブを得たいと考えている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度に交付が予定されている助成金は1,100.000円であるが、当年度の未使用金が154,960円残っており、次年度は総額1,254,960円で研究費の使用計画を組むことになる。当年度において未使用金が出たものの、全体の交付額(1,800,000円)に比べてそれほど大きな金額ではなく、おおむね当初の計画どおりの適切な使用実績であったと考えている。 次年度は、上の「今後の研究の推進方策」に記したとおり、これまでの八千代座に焦点を絞った研究調査から全国各地の芝居小屋の実態調査へと研究対象事例を広げる予定である。したがって、次年度も研究出張のための「旅費」が相当額を占めることになる。その他「物品費」としてはPC及びAV機器の周辺機器及び消耗品の購入費、「人件費・謝金」としては調査補助及び資料整理の謝礼、「その他」としてはデータベース及びレンタカーの使用料金、などを主として想定している。 次年度に予定している研究費の費目別内訳は次のとおりである。 物品費:100,000円、旅費:650,000円、人件費・謝金:300,000円、その他:204,960円(合計:1,254,960円)
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