2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23530713
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Research Institution | Konan Women's University |
Principal Investigator |
芦田 徹郎 甲南女子大学, 人間科学部, 教授 (20151053)
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Keywords | 芝居小屋 / 祝祭(性) / 地域文化 |
Research Abstract |
本研究は、全国各地の伝統的な芝居小屋が高度経済成長期前後に経営不振と老朽化によってそのほとんどが消滅する中で、解体または倒壊の寸前にまで追い込まれながら奇跡的に再生を果したいくつかの事例に即して、「祝祭空間」の蘇生の現代社会論的な意味と意 義を文化社会学的ならびに地域社会学的に解明しようとするものである。初年度は、熊本県山鹿市に残る「八千代座」に焦点を絞り、当地の他の地域文化の活性化もしくはその活用状況とも絡めながら、集中的な現地調査を実施した。また次年度は、研究調査の対象を、「旧金毘羅大芝居(金丸座)」(香川県琴平町)、「内子座」(愛媛県内子町)、「嘉穂劇場」(福岡県飯塚市)など、八千代座同様に活発な活動を展開している他の芝居小屋と地域社会にまで広げ、芝居小屋どうしの連携協力にも目配りしつつ、より一般的な知見の獲得を目指した。 そして最終年度(当年度)は、これまた活動が顕著な「康楽館」(秋田県小坂町)、「ながめ余興場」(群馬県みどり市)、「永楽館」(兵庫県豊岡市)についての現地調査を行ったほか、芝居小屋としての活動よりも保存展示的な活用色の強い「広瀬座」(福島県福島市)と「呉服座(愛知県犬山市)のほか、芝居小屋としての機能は停止しているもののその再生に向けての運動が続いている「鶴川座」(埼玉県川越市)と「共楽館」(茨城県日立市)についても現地調査を実施した。また、連携協力と裏腹な芝居小屋どうしのライバル関係にも注目し、坂東玉三郎公演を巡る「八千代座」と「旧金毘羅大芝居(金丸座)」との微妙な綱引きにもわずかながらメスを入れた。さらに、国立国会図書館においても精力的な関連資料の検索を行い、文書資料についてはほぼ網羅的な収集を実現できたと考えている。 かくして、ほぼ当初計画通りの調査を終えたことになり、現在、最終的な研究成果の取りまとめに鋭意取り組んでいるところである。
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