2014 Fiscal Year Annual Research Report
エコツーリズム推進法導入に関する社会運動論的考察-環境保全と観光利用の両立-
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23530715
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Research Institution | Okinawa University |
Principal Investigator |
圓田 浩二 沖縄大学, 人文学部, 教授 (10369209)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | エコツーリズム / 環境保全 / 観光利用 / サンゴ礁 / ダイビング |
Outline of Annual Research Achievements |
具体的内容/慶良間諸島(座間味村と渡嘉敷村)で行われているエコツーリズムの実践(ダイビング観光)と、その観光資源であるサンゴ礁の保全問題に焦点を当て、その問題に取り組む行政、業者、地域住民について、調査を行った。方法は、文献・資料研究、参与観察、インタビュー調査等であり、エコツーリズムの先進地区についても、比較調査を行った。
意義/「観光立県」を掲げ、年間700万人の観光客が訪れる沖縄での、観光開発と環境保全の問題は、離島県でもある沖縄県の大きな社会問題となっている。本研究では、慶良間諸島(座間味村と渡嘉敷村)で行われているエコツーリズムの実践(ダイビング観光)に焦点を当て、その問題に取り組む行政、業者、地域住民について、調査を行った。そこで、明らかになったのは、行政主導(環境省や県、地方自治体)のやり方が、調査地の観光とサンゴ保全の実態と、齟齬を来している現状であった。エコツーリズム推進法による認可や国立公園化という観光イメージのブランド化に対応できていない現場の複雑な事情がそこにはあった。
重要性/行政と、一部の地域社会の有力者主導の観光地のブランド化は、エコツーリズム推進法の実施を見る限り、失敗している。なぜならば、認可後にすぐに制定されるべき、地方自治体(座間味村と渡嘉敷村)での、エコツーリズムの実施に必要な条例化が、地域の複雑な利害関係のために、認可3年を経ても、その素案ですら、下部組織の会議に提出できていない現実がある。地域に実態にそぐわない行政主導の観光行政は、地域に混乱と、根深い対立を残すこととなった。島民の観光地としてのブランド力の向上への願いが、行政と一部の関係者主導によるエコツーリズム制度の利用の受け入れに至ったが、法に則った形でのエコツーリズム自体は実践されていない。本研究は、著名な観光地を抱える沖縄の複雑な地域社会の合意形成の困難さを示す事例となった。
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Research Products
(3 results)