2013 Fiscal Year Research-status Report
「ケアの連続体」の形成の視点に基づく高齢者ケア・サービス体系の国際比較
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23530720
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
平岡 公一 お茶の水女子大学, 大学院人間文化創成科学研究科, 教授 (10181140)
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Keywords | 国際情報交流 / アメリカ合衆国 / フランス / スウェーデン / イギリス / ケアの連続体 / 高齢者ケア / 国際比較 |
Research Abstract |
本研究の目的は、アメリカ、フランス、スウェーデン、イギリス、日本の5カ国を対象として、「ケアの連続体」の形成という観点を基礎におきつつ、「入所施設の住宅化」と「多様な居住の場と中間的な性格のサービスの整備」に向けての高齢者ケアのサービス体系の変容の過程と、市場化・個別化・重点化等の制度改革がそこに及ぼした影響についての比較分析を行うことである。 平成25年度においては、日本、イギリス、アメリカ、フランス、スウェーデンの各国について、収集した資料・文献に基づいて、高齢者ケアのサービスの体系の変容に関して、政府間関係の再編、多元化・個別化・重点化等の社会サービス分野の制度改革、市場化や業績管理といった新たな政策手段の活用、低所得高齢者対策の展開との関連に着目しつつ検討を行った。当初予定していたフランス、スウェーデンでの現地調査の実施と、研究成果をとりまとめた論文の執筆には至らなかったが、平成26年度に研究を継続し、研究成果を取りまとめるにあたっての課題として、次の点が明らかになった。 第一に、日本でいう「地域包括ケアシステム」にあたる統合的な介護サービスのサービス提供体制の確立に向けての政策の展開とともに、そのシステムを構成する介護、医療、住宅、生活支援等の各分野ごとの政策展開のダイナミズムにも着目する必要がある。第二に、要介護度等のサービス利用要件に着目した分析は重要であるが、要介護度等の評価基準は国際的に必ずしも統一されていないため、高齢者の状態像に着目したモデル分析等の手法の開発が必要である。第三に、高齢者ケアのサービス体系の機能の分析・評価のためには、個人レベルの調査データを用いた分析が必要であり、既存のデータの二次分析を試みた上で、本格的な国際比較調査の設計についての検討を進めていく必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の研究計画に沿って研究を進めてきているが、フランス、スウェーデンの現地調査を平成25年度に実施できなかったことなど、研究の進行に若干の遅れが生じている。平成26年度においては、残された課題に集中的に取り組むこととしたい。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度においては、次のとおり研究を推進することを計画している。 1.平成25年度に実施できなかったフランスとスウェーデンの現地調査を実施する。 2.日本、イギリス、アメリカ、フランス、スウェーデンの高齢者ケアのサービス体系の変容について、収集した資料・文献に基づく分析をさらに進める。 3.研究成果を研究成果報告書としてとりまとめるとともに、研究成果をまとめた論文の執筆に取り組む。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度にフランス、スウェーデンの高齢者ケアのサービス体系についての現地調査を実施することを計画していたが、すでに入手した資料・文献に基づく分析に、予定した以上の時間を要したため、両国の現地調査を実施するには至らなかった。また、そのため、研究全体の成果のとりまとめを行う論文を作成するにはいたらなかった。そのため、未使用額が生じた。 次年度使用額の621,717円については、フランス・スウェーデンでの現地調査のための海外旅費に500,000円を、資料整理謝金に50,000円を、消耗品費(文献・資料代、およびパソコン関連消耗品)に71,717円を使用することを計画している。
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Research Products
(2 results)