2013 Fiscal Year Annual Research Report
精神障害者の語りの実践と関心コミュニティの展開可能性
Project/Area Number |
23530721
|
Research Institution | Seijo University |
Principal Investigator |
南山 浩二 成城大学, 社会イノベーション学部, 教授 (60293586)
|
Keywords | ナラティヴ / 精神障害 / リカバリー / ストレングス / セルフヘルプ / ACT / 地域生活 / 日本 |
Research Abstract |
研究最終年度である本年度は、インタビューデータ(精神障害当事者14名、精神科医1名・精神保健福祉士4名・作業療法士1名の計20名)および参与観察により得られたデータ(障害者が経験を語るグループの参与観察および精神障害者訪問サービスへの同行により得られた参与観察データ)、フィールドワークで採集したドキュメントデータ(クリニック会報や関係者が執筆した諸論考など)の分析と考察を行った。 語りの実践の活動は、活動への参加を促すプログラムの構造化と活動から<降りる>ことを担保する文化の維持、医療モデルの戦略的使用と医療モデルに限局されない物語の創出を担保する語彙への寛容性の涵養などの諸特徴が明らかとなった。 また、リカバリー視点にたつ「新たな専門性」は、障害当事者の自己決定権の尊重という態度や障害者との協働的関係構築に向けた努力をうながす傾向にあるといえるが、他方、支援の視点の拡大に伴う専門職の役割加重の問題や自己決定の条件や結果に伴う課題も出現していること、未だコミュニケアシステムへの移行が不十分な現状では、リカバリー概念やアウトリーチサービスの目標が関連機関・関係者間で十分に共有されていないなどの連携の問題が生じていることなども明らかになった。 これらの知見の一部は、学会報告および論文により公表したが、いまだ公表活動は不十分であり、今後も継続して、学会報告・論文誌筆を行っていく予定である。なお、本年度は、研究上だけではなく、一般社会にむけた還元にも力点をおいた(静岡県主催「静岡県精神障害者訪問支援推進事業研集会」講師/ACT(地域包括型支援)全国ネットワーク主催全国研修会講師)が、このような形での社会的還元にも力点をおいていきたい。
|