2012 Fiscal Year Research-status Report
日本的ハンセン病社会事業成立史研究-隔離主義と治療主義の相克過程の検討を通して-
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23530724
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
平田 勝政 長崎大学, 教育学部, 教授 (10218779)
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Keywords | ハンセン病 / 社会事業 / 希望社 |
Research Abstract |
日本的ハンセン病社会事業成立史研究の研究計画は、(A)治療解放主義の系譜、(B)隔離監禁主義の系譜、(C)両者の相克、検討から構成されている。 平成24年度の研究は、(B)に関するもので、その成果は、下記の①②である。 ①社会事業史学会第40回大会(2012.5.12)で口頭発表した「1920年代のハンセン病問題と社会事業(第7報)」を、改題・修正加筆・一部削除して「日本ハンセン病社会事業史研究(第5報)―1920年代における希望社のハンセン病救済運動の検討―」と題する論文にまとめ、「長崎大学教育学部紀要―教育科学―」第77号(2013年3月)に発表した。 ②上記①の続編として、新資料の「希望社時報」→「希望の日本」第1~74号(1926~1932)と地方新聞記事を手がかりに、1926年6月に希望社(中央)が提起した鈴蘭村建設のための「癩病撲滅運動」と1931年6月25日を中心とする「癩病根絶期成同盟大会」の全国一斉開催運動の2つの運動に注目して、中央本部の提起に呼応して地方組織(誌友会、地方支部、地方聯盟等)が展開した運動(取り組み)に関する実証的研究の成果を、日本社会福祉学会第60回秋季大会(2012年10月20日 於・関西学院大学)において、「1920年代のハンセン病問題と社会事業(第8報)―希望社地方支部のハンセン病救済運動の検討―」と題して発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究資料の調査・収集の進捗状況の差により、当初の研究計画に掲げたテーマ追究の順序に若干の入れ替えが生じているが、希望社のハンセン病救済運動の全体像を把握する重要な手がかりを整理・検討し、論文として発表できたことは今年度の成果である。全体としての研究計画に照らしても順調に進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の課題としては、①1920年代の朝鮮ハンセン病問題における治療主義と隔離主義の相克過程を解明していくこと、②布哇のハンセン病政策における治療解放主義の成立・展開過程を解明していくこと、③安達謙蔵(内務大臣)の保健国策とハンセン病問題との関係の解明、④キリスト教関係雑誌・新聞におけるハンセン病問題関係資料の調査・収集とその検討作業、などがある。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今年度は、1920年代における朝鮮の新聞(京城日報など)の調査に重点をおき、さらに布哇の新聞の調査にも取り組むため、国会図書館(新聞資料室)への出張費に研究費の多くを使用する。また研究成果の学会発表の旅費に使用する。
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