2013 Fiscal Year Research-status Report
日本的ハンセン病社会事業成立史研究-隔離主義と治療主義の相克過程の検討を通して-
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23530724
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
平田 勝政 長崎大学, 教育学部, 教授 (10218779)
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Keywords | ハンセン病 / 希望社 / 日本MTL / 社会事業 |
Research Abstract |
日本的ハンセン病社会事業成立史研究の研究計画は、(A)治療解放主義の系譜、(B)隔離監禁主義の系譜、(C)両者の相克の検討という3本柱で構成されている。 平成25年度の研究成果は、(C)関係が下記の①②、(B)関係が③である。 ①学会発表としては、社会事業史学会第41回大会(2013.5.11)において「1920年代のハンセン病問題と社会事業(第9報)―日本MTLのハンセン病救済運動の検討―」と題して口頭発表した(『社会事業史学会第41回大会報告要旨集』40~41頁と当日配布資料全11頁を参照)。主に1920年代後半の日本MTL(中央本部)と静岡支部及び横浜(菅野武)の活動を実証的に解明し、その上で希望社運動との関係を検討した。 ②日本特殊教育学会第51回大会(2013.8.31)の自主シンポジウム11「ハンセン病問題と人権回復―故郷への道を拓く―」の話題提供者としてこれまでの研究成果を総括するかたちで報告した。その記録は、「特殊教育学研究」第51巻第5号(486頁)を参照されたい。 ③論文としては、日本社会福祉学会第60回秋季大会(2012年10月20日 於・関西学院大学)において口頭発表した「1920年代のハンセン病問題と社会事業(第8報)―希望社地方支部のハンセン病救済運動の検討―」を基礎に修正・加筆(四国・九州を除外)して「日本ハンセン病社会事業史研究(第6報)―希望社地方支部のハンセン病救済運動と十坪住宅の成立―」と題する論文にまとめ、「長崎大学教育学部紀要―教育科学―」第78号(2014年3月)に発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
隔離主義の系譜で未解明な点の多かった希望社と日本MTLのハンセン病救済運動の実証的な解明が進展した。特に1931年6月25日に希望社運動(中央本部と地方支部の運動)として取り組まれた全国規模の「癩病根絶期成同盟大会」の実証的解明が進み、その大会開催を契機に十坪住宅運動やらい予防デーが開始されていったことがほぼ明らかになってきた。まだいくつかの地方支部の大会開催状況が未調査で、課題として残されている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の重点課題は、1920年代の朝鮮(志賀潔)における治療主義と隔離主義の相克の解明、1920年代の布哇及び国内における治療解放主義の系譜の解明、1930年代におけるらい予防デー(毎年6月25日)と無癩県運動の展開過程を解明していくことである。
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