2012 Fiscal Year Research-status Report
熟練介護職員のキャリア形成からみた認知症ケアに関する研究
Project/Area Number |
23530727
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Research Institution | Iwate Prefectural University |
Principal Investigator |
鈴木 聖子 岩手県立大学, 社会福祉学部, 教授 (40305272)
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Keywords | 熟練介護職員 / キャリア形成 / 特別養護老人ホーム |
Research Abstract |
専門的質の高いケアを実践している熟練介護職員は、認知症高齢者にどのようなケアを行っているのか、その特性について明らかにすることを目的とした。研究協力者には、特別養護老人ホームの責任者が、専門的な質の高いケアを実践していると評価している熟練介護職員(経験3年以上)とした。研究方法は、半構造化インタヴュー(質問内容をあらあじめ設定するがお互いのやり取りの中ですすめていく)とし、インタヴューの時間は30分から40分程度とした。研究協力者は3名で全員介護福祉士であった。A氏40歳女性、経験20年、介護副主任、B氏29歳男性、経験9年、介護福祉士ユニットリーダー、C氏26歳女性、経験6年である。インタヴュー内容は、この1年くらいの実践の中で、①これこそが介護職のケアであると感じた体験でしかも②良いケア結果をもとらすことができたと思う体験について1例以上を自己の体験から選びその援助過程について、自由に語ってもらった。 インタヴュー内容は逐語録とし、データの分析は語られた経験を意味のまとまりごとに断片化し、その内容について端的に表現するような見出しをつけた。見出しは次の6カテゴリに表現することができた。①共にいる(行動、側にいる、昔を想起する)、②創りだす(居場所、居心地の良い時間、安心感)、③予測する(思いがけないこと)、④受けとめる(思い)、⑤あらわす(介護者の嬉しさ:プラスの感情、存在の価値、タッチ、傾聴)、⑥移す(居場所、他の職員に、感情コントロール:調整)であった。また、具体的なケア内容として、長い期間をかけて、その人に最も適切と思えるケアを創っていくことが必要でありその根底には介護の専門性があるとし、専門性として無条件の受容、相互主観性、知識、技術をあげていた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究期間は3年計画を予定しており、1年目は質問紙による調査を実施し、その成果は所属学会にて発表した。研究2年目の今年度は介護専門職へのインタヴューを行い、質的なデータから熟練介護職員の認知症高齢者のケアの特性を把握しようとした。今年度は、3名のインタヴューであり、結果を一般化するには協力者数をさらに拡大する必要がある。しかし、3名から得られたデータを分析した結果、一定の方向性を示すことはできた。研究3年目は、さらにインタヴューの例数を増やし、研究成果を報告したい。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、最終年度である。インタヴュー協力者数を一般化可能な程度に増加し、今年度の分析を踏まえてまとめたい。また、研究1年目に実施した、全国特別養護老人ホーム熟練介護職員の質問紙調査とあわせて論文として報告する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
①個別面接調査謝礼:10名×10,000円@100,000円 ②個別面接調査旅費:10箇所× 3,000円@30,000円 ③データ整理・データ収集補助謝金:40時間×800円×5人 @160,000円 ④成果発表旅費:100,000円 ⑤書籍他:100,000円 ⑥文房具他:123,382円 ⑦レコーダー:30,000円×3台 @90,000円
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