2012 Fiscal Year Research-status Report
ドイツ女性団体連合国際ネットワークに見るザロモン研究‐ICWとICSSWの連携役
Project/Area Number |
23530729
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
岡田 英己子 首都大学東京, 人文科学研究科(研究院), 教授 (10233321)
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Keywords | 社会福祉関係 / A.ザロモン / ソーシャルワーク教育史 / ジェンダー史 / フェミニズム / ドイツ / オーストリア / 合衆国 |
Research Abstract |
本研究「ドイツ女性団体連合国際ネットワークに見るザロモン研究-ICWとICSSWの連携役」は、比較ソーシャルワーク教育史として、ドイツのA.ザロモンの社会政策提言「同一価値労働・同一賃金」を機軸に置き、1920年代にヨーロッパ大陸型ソーシャルワーク教育の第一人者と評される経緯を明らかにするものである。彼女が合衆国ソーシャルワーク校で講義中断の憂き目にあう1930年代の合衆国博愛事業団体との関係・背景解明も含む。BDF(ドイツ女性団体連合)理事である彼女の社会政策提言を、BDF上部組織のICW(国際婦人連合,1888年設立)のフェミニスト達は、戦時期を挟んでどのように受けとめるのか。ヨーロッパ大陸の社会事業学校を束ねる彼女を、いかなる国内外の人脈が支えるのか。この全容を、「母性」言説の国ドイツで、打開策を福祉職国家(州)認定資格と女性公務員雇用に求めるザロモンの生き方を通して、解明していく。 ベルリンでのBDF史資料収集に関しては、当該テーマの重要度の高いものは一通りは済ませているので、2年度目は日本で手元にある史資料の読み込みを行った。同時に4年度目予定の合衆国調査に先立って、同志社大学アメリカ研究所・同大学図書館所蔵の史資料を活用。本年は、ザロモンがICWから派遣されて合衆国を訪問する1909年から、1920年代初頭のBDF脱会までの時期にしぼって、A.ザロモン/BDF側と、J.アダムズ/合衆国側の国際ネットワークを、女性間の繋がりを通して探った。特にドイツと合衆国双方の政治的な意味合いを持った、フェミニストの国際ネットワークづくりの動きを拾い出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
A.ザロモン/BDF側からみた、フェミニズム戦略としてのフェミニストの国際ネットワークを拾い出した。J.アダムズ/合衆国側の受けとめ方は、同志社大学アメリカ研究所所蔵の書簡(シカゴのハル・ハウス)からかなり明らかにされた。 ここからなお仮説的ではあるが、大西洋をこえたフェミニストによる国際ネットワークづくりが具体的に見えてきたと思う。BDF脱会後のA.ザロモンが合衆国ソーシャルワーク教育界で、ヨーロッパ大陸を代表する社会事業・教育論の論者であるとの評判を短期間で定着させていく下地になるフェミニストの国際ネットワークがハル・ハウスの書簡からかなり読み取れたからである。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の予定通り、海外調査と国内での作業を継続する。本研究の3年目は、学会報告と論文投稿を各1予定している。長期の海外調査は、4年度目に予定している。計半年以上に渡って、合衆国とドイツに滞在する計画である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度はドイツ語圏内での調査を晩秋から暮れに行い、平成26年度は、その調査成果に基づき、平成26年の春から夏に三カ月程度の合衆国でのザロモンの足跡を辿る調査を計画中である。つまり、年度をまたぐ可能性があり、調査費をここに使用する予定です。
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Research Products
(2 results)