2012 Fiscal Year Research-status Report
学習面・行動面の困難を抱える不登校の高校生への社会的自立支援ツールの開発
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23530741
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Research Institution | Fukuoka Prefectural University |
Principal Investigator |
原田 直樹 福岡県立大学, 看護学部, 講師 (80598376)
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Keywords | 不登校 / 発達障害 / 社会的自立 |
Research Abstract |
平成24年度は、全国の高校における学習面・行動面の困難を抱える不登校生徒についての実態、及び学校内における支援がどのようになされているかについて調査実施を予定していたが、研究協力者らのアドバイスから、実態調査だけではなく、支援ツールの開発を視野に入れた、早期発見のためのチェックリスト作成が重要であるとの考えに至った。 そのため、近隣の高校3校及び福岡県立大学附属研究所の不登校・ひきこもりサポートセンターにおいて追加のインタビュー調査を実施し、生徒指導担当者、特別支援教育コーディネーター、センターの専門研究員から不登校生徒のうち発達障害の恐れがある生徒の特性を抽出した。 平成24年度の研究は、チェックリストの開発のために、具体的な特性の項目を洗い出し、これらの項目を調査票に追加することで、同時に支援ツールのうち重要な位置にあるチェックリストの開発につなげることができるものであり、本研究におけるその重要度は高い。 とりわけ、明らかになった項目においては、小中学校の発達障害の児童生徒と異なり、対人関係上のトラブルとしての攻撃性や自身を傷つける等の行為といった、二次的な課題が具体的な項目として挙げられた。 これにより、全国調査においては、(1)対象校における不登校対応及び特別支援教育推進の体制、(2)当該生徒の入学時における中高との連携、(3)当該生徒の入学後のアセスメント体制、(4)校内協働の仕組みづくり、(5)卒後を意識したキャリア支援の体制とその内容の5つの柱に加え、(6)不登校生徒のうち発達障害が懸念されるチェックポイントの6つの柱について質問紙に再構成し、25年度6月に実施の予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成24年度は、全国の高校における学習面・行動面の困難を抱える不登校生徒についての実態、及び学校内における支援がどのようになされているかについて調査実施を予定していたが、これができていない。 これは研究協力者らのアドバイスから、支援ツールの開発を視野に入れた、早期発見のためのチェックリスト開発についての調査を同時に実施した方がよいという考えによるものである。 実態及び支援方法の調査ののちに、チェックリスト開発のための調査を行うことは二度手間であり、場合によっては回答者に過重の負担を強いる可能性があることから、24年度はインタビューに基づくチェックリスト項目の洗い出しを行ったものである。 しかし、実態の把握のための調査は実施できていないことから「やや遅れている」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度の前半は、6つの柱を盛り込んだ質問紙をもとに、全国13ブロックから各30校ずつの計390校を選定し、調査を実施する。 得られた調査データを分析し、発達障害が懸念される学習面・行動面の困難を抱える生徒について実態を明らかにし、当該生徒の入学時、在学中における気づき、生徒の卒業に向けてのそれぞれの時期に必要とされる具体的支援の内容について明らかにする。また、得られたデータを元に、支援ツールのうち最も重要となるチェックリストを開発する。 平成25年度後半は、近隣の協力高校でチェックリストの試験運用を実施する。使用の簡便性や項目等について高校教員に事後評価をしてもらい、その評価結果を分析し、より効果的で活用しやすい支援ツールを検討、報告する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
全国調査を25年度に実施することに計画を変更したことから、調査紙の印刷製本費、発送及び回収にかかる封筒の購入費、通信費等の費用が残額として発生した。 平成25年度は上記費用を必要とし、さらに得られた調査データのとりまとめのため、データ入力にかかる費用、データの管理のための記憶媒体の購入費を要する。 また、分析に際して、打ち合わせにかかる旅費及び通信費、支援ツールのプロタイプ作成に必要な情報を収集するための記録用ビデオカメラの購入費として使用する。 さらにツールのプロトタイプを簡易製本し、テスト運用の様子を記録するため、簡易製本機及び製本カバーの購入費、記録用カメラとSDカードの購入費、テスト運用の謝金、介入にかかる旅費を必要とする。 また、この成果を学会において発表し、学会誌へ論文を投稿するため、関連図書の購入費、成果発表にかかる旅費、論文投稿にかかる費用を要し、研究の総括報告書を作成するため、その印刷製本費を計上している。
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Research Products
(3 results)