2012 Fiscal Year Research-status Report
精神疾患早期支援のための思春期・青年期過渡的プログラム開発に関する研究
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23530742
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Research Institution | Tokyo University of Social Welfare |
Principal Investigator |
藤島 薫 東京福祉大学, 社会福祉学部, 准教授 (90530121)
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Keywords | 早期支援 / 思春期・青年期 / 過渡的支援 |
Research Abstract |
平成24年度は2年目にあたり、最終年度の試行的介入調査に向けての知識基盤を構築することが主な目的であった。そのために、先行研究および日本における実践事例から、思春期・青年期の若者が抱える生活上の問題とその対処法の実際を把握すること行った。若者に対する早期支援は主に精神科デイケア、NPO法人、また若者へのメンタルリテラシー構築のために教育機関をフィールドとして取り組んでいる事例などから、多くの示唆を得ることができた。 また、初年度に行なったニュージーランドのYTP(Youth Transitional Programme:若者過渡的プログラム)及び問題を抱えた若者と家族への支援を行っているユースホライゾン(Youth Horaizon)の訪問調査で得られた知見の整理と分析を行った。その一部は雑誌に掲載し社会に若者の早期支援の必要性について発信することができた。特に、YTPは若者のストレングスに焦点を置いたプログラムがシステマティックに提供されている。早期支援に対しては偏見や疑陽性の問題など倫理的な問題で反対される意見もあるが、YTPの取り組みからあくまでも若者を尊重しリカバリーを目指すという理念が若者と家族、そしてスタッフに共有されていることを確認することができ、本研究の方針として合致するものであった。 本研究は児童デイサービスをフィールドとして実践する予定であることから、サービス提供管理者である研究協力者およびスタッフに対して研修を行ってきた。また、若者への支援方法および発達理論に関する研修会等にも参加し準備を整え、実践可能でありかつ有効なプログラムについて検討を重ねた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
初年度に行う予定であった思春期・青年期で抱える生活困難に関する調査について、単発のインタビューによる情報収集にとどまっている。本研究の前段階で行った高校養護教諭対象のデータをもとにして、関係者対する半構造化面接を行う準備をしていたが、研究機関が変わり、フィールドから地理的に離れたことも要因となってしまったので、即急に調査を行う必要があり、現在、その準備を行っている。そのほかの資料収集、フィールド調査による資料分析などはおおむね順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は本研究の最終年度であり研究をまとめ介入調査を目指す年度である。まず、ニュージーランドにおける過渡的プログラムから得られた知見、わが国における実践の方向性等について、各関係学会において発表を行っていく。また、平成24年度では個別的な調査しかできなかった、教育関係者、精神保健関係者等を対象に、若者支援に関する調査を行う予定である。これまでに検討してきた若者支援のための過渡的プログラムの具体的なリクルート方法、運営方法、内容などを精査し介入調査を行うことを目指していく。介入調査のフィールドとなる児童デイサービスの環境整備を行い、研究協力スタッフへの研修を行う。また、若者への過渡的プログラム実践のマニュアルを作成していく。介入の効果測定は前後比較を中心とし、倫理的配慮を検討したうえで、可能であれば、プリテストーポストテスト統制群法のグループデザインとしたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度で実施することのできなかった、関係機関への調査に必要な経費として使用する(事務用品、消耗品、印刷、郵送、謝金、旅費等)。また、研究協力者との打合せに要する旅費および研修資料、マニュアル作成等に必要な経費と謝金に使用する。
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