2012 Fiscal Year Research-status Report
児童虐待死亡事例について司法記録等の分析から効果的な介入のポイントを検証する
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23530751
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Research Institution | Teikyo Heisei University |
Principal Investigator |
齋藤 知子 帝京平成大学, 現代ライフ学部, 講師 (10460289)
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Keywords | 児童虐待死 / 裁判記録 / 検証報告 / ソーシャルワーク |
Research Abstract |
前年度(23年度)にA県の4つの検察庁に閲覧申請し、裁判記録の閲覧・複写が許可された児童虐待死亡事例4事例について、今年度(24年度)はパワーポイント資料を作成し事例研究を行った結果から、分析を行った。本事例4件についてはA県において「児童虐待死亡事例検証」をすでに実施しているため、県で実施している「行政への聞き取り調査」が中心の検証と、本研究で行っている「裁判記録等を用いた調査」との比較を中心として、上記資料を用いて有識者、関係職種の経験者、研究者などの協力のもと事例研究会を開催し結果から介入のポイントとソーシャルワークのあり方について分析した。 裁判記録から詳細な家族構成や加害親の生育歴、事件に至る背景や時間の経過など、行政等の関係機関への聞き取り調査に比べると明確になったが、刑事事件の規範的解決を図るための裁判であるため、児童相談所の介入方法についての記載や児童相談所などの関係機関についての加害親の心情などの記載は少なく、本研究における目的にあるソーシャルワークのあり方を検討するためには、児童虐待について専門的な視点で弁護活動を行っている弁護士が加害親の弁護を行った裁判事例について、調査を進め2事件について閲覧申請の準備中である。 課題であった海外の研究については、児童虐待死亡事例裁判やその記録を活用した取り組みについて調査し、文献や学会報告などから「司法ソーシャルワーカー」の配置が行われているイギリス、児童相談所がソーシャルワーカーを殺人罪の容疑で告訴した事例(2002年)を持つアメリカへの調査などを準備している。 事例検討についても、A県の4事例を児童相談所などの児童虐待にかかわる専門職の研修体系に活用する方法論の模索のため、その準備段階として各関係機関に事例研究の参加依頼や関係した児童虐待死事例の事例検討について参加が可能かについて伺いに訪問調査した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
23年度についてはほぼ予定通り、A県の児童虐待死亡事例4件について閲覧申請し、閲覧も行うことが出来、有識者や関係職種経験者などの参加を得て、事例検討会も実施することが出来た。今年度はそれらをまとめ、各事例の分析を進め、新たな事例の閲覧や裁判傍聴、海外の優れた裁判や裁判記録の活用による先行研究、文献を調査するはずだった。各事例の分析についてはおおむね順調に進んだが、後半の課題については、授業がない2,3月に新たな裁判記録の閲覧までは終了予定だったが、勤務先のキャンパス移転の引越しがあり、そのような事情からやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)児童虐待の専門的視点を入れた加害親の裁判事例2事例の記録の閲覧と事例研究の実施を予定している。実施後、事例研究の枠組みを示し、関係機関の専門職の研修体系の活用可能であるか、関係機関の専門職の参加を求めた事例研究会を実施予定である。さらに裁判進行中の事例については裁判の傍聴を実施する。 (2)本研究目的であると同様の研究が海外でも行われいるかを調査し、「司法ソーシャルワーカー」の活用や裁判がソーシャルワークに活用されている事例などをもとに、実際にアメリカ、イギリスへの調査を実施する。 (3)上記(1)、(2)の研究結果を整理しまとめたものを報告会を実施し、報告書としてまとめる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
(1)新たな裁判事例2事例の記録の閲覧のための研究者自身の出張費、記録複写費用、その他通信費などの諸経費。事例研究会の開催のための費用(参加者交通費、謝金、通信費、会議費)。 (2)本研究目的であると同様の研究が海外でも行われいるかを調査するための出張費、謝金、その他通信費などの諸経費。 (3)上記(1)、(2)の研究結果を整理しまとめたものを報告会を実施するための費用(参加者交通費、謝金、通信費、会議費)。報告書としてまとめるための印刷代、製本代、送料など。 (4)その他上記目的のための備品、消耗品など。
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