2011 Fiscal Year Research-status Report
超高齢社会における福祉用具活用の実証的研究-わが国の介護問題の解決を目指して-
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23530752
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Research Institution | Seitoku University |
Principal Investigator |
大根 静香 聖徳大学, 人文学部, 准教授 (70341857)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浅岡 淳子 聖徳大学短期大学部, 総合文化学科, 教授 (40331384)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 福祉用具 / 高齢者介護 / 腰痛 |
Research Abstract |
現在、わが国の介護現場では、移乗・移動に関する福祉用具があるにもかかわらず、その普及率は極めて低い。介護職の離職率の高さや老老介護など、介護力低下も問題視されている現状にある。介護職の離職理由として最も多いものは、腰痛ということも明らかにされつつある。 本研究は、それらの諸問題を解決することを目的に、3年計画で福祉用具を介護の現場に導入するための実証的な調査を行うことである。計画としては、1年目は、福祉用具のイメージについてパイロット調査と調査票の確定。2年目は、介護現場にて福祉用具活用者のリクルートをすすめ、調査に入る。3年目は、調査結果をまとめ、学会発表や論文投稿、講習会などで発表、普及活動をしていく計画である。 1年目である23年度は、パイロット調査を実施した。対象者は、研究代表者が所属する大学の学生1~4学年の99名である。4種類の福祉用具(スライディングボード、ラクーネ、乗助さん、リフト)を用いた移乗方法の映像を見てもらい、それらを体験して、質問項目に沿って、福祉用具に対するイメージを自由に回答してもらった。その結果、福祉用具に対して、移乗・移動が楽にできる、スムーズに行える、威圧感はあまり感じないといった肯定的な回答を示したものがほとんどを占めていた。また、映像と体験との違いについては、福祉用具によって差は生じていたが、全体的にみるとさほどないことがわかった。 今回の調査は、福祉用具活用者から回答を求めた点が、画期的だったと思われる。少数の回答ではあったが、移動する速度が速すぎると恐怖に感じること、ある程度のボディタッチを確保している方が安心感を与えるなど、当事者ならではの回答が得られたと思われる。現在、これらの回答をもとに研究協力員などと、調査票の確定を検討中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
23年度は、パイロット調査を実施し、福祉用具に対するイメージ調査を確定する事を目的としていた。今回は、パイロット調査を実施するまでにとどまった。 遅れている理由としては、以下3点である。 1.福祉用具の選定を再度検討したことである。これは、福祉用具の大きさや、操作の時間、操作が簡易であるもの、高齢者などにとっても安全であるものなどを視野に入れ、より実用的な福祉用具を介護の現場に導入したいと考えたからである。選定にあたっては、介護保険制度でレンタル・購入できる移乗の用具を参考にした上で、福祉用具が一ヶ所に集結し、体験できる国際福祉機器展に研究分担者らとともに出向き、体験を通して再検討を行った。その結果、一部変更を行った(スマイルからラクーネに変更)。福祉用具を実際に体験してから選定することにこだわったことで、国際福祉機器展が10月に開催だったこともあり、パイロット調査までの期間が大幅に遅れてしまった。また、当初から計画していた福祉用具(乗助さん)に関しても、業者に出向き、より移動用用具として使用しやすいよう意見を出し合い打合せ等を行った。 2.パイロット調査にあたり、研究協力者の確保に苦心したためである。計画通りに実施するためには、福祉用具の選定から、パイロット調査の時期までに期間があまりなく、短期間に対象者を募ることになった。このことにより、当初の計画には想定していなかった、福祉用具を扱う人材が必要となり、それを適切に扱える人材を確保することが難しかったということがあげられる。 3.パイロット調査時に使用する福祉用具をそれぞれの業者から借用しての実施だったため、各業者との福祉用具の空き状況が合わず、調整が困難だったことも要因の一つである。
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Strategy for Future Research Activity |
3年計画の2年目は、2点を主な計画としている。1.パイロット調査をもとに作成した福祉用具のイメージ調査について、介護保険施設にて現状調査の実施。2.介護保険施設で、福祉用具の活用対象者のリクルートをすすめ、調査に入ることである。 1.介護保険施設における福祉用具のイメージの現状調査の実施については、関東近辺の介護保険施設と調整を行うほか、研究代表者が所属している大学で、実習を委託している施設など,重点的に協力してもらえるよう依頼する。調査方法は、介護職員については質問票を送付し、要介護高齢者には聞き取り調査を行う。また、その時点で、福祉用具の活用についての打診をし、了解を得た施設には、福祉用具を持参し、使用方法等を説明するなど打合せを行う。 2.介護保険施設で、福祉用具の活用対象者のリクルートをすすめ、調査に入ることについては、まず、福祉用具を6ヶ月程度使用してもらう。その後、福祉用具活用者である介護職員には、福祉用具のイメージに対する質問票を送付し、要介護高齢者については、研究代表者などが施設に行き、聞き取り調査を行い、一見したときと実施したときとの福祉用具のイメージの違いや導入の条件などを調査する。24年度の調査に当たっても、代表研究者の他に、介護保険施設に入所している高齢者に聞き取り調査を行う研究協力者の人材が必要なため、確保できるよう敏速に対応する。 3年目は、調査結果をまとめ、学会発表や論文投稿、講習会などで発表、普及活動をしていくことを計画している。その内容としては、まず、上記した調査結果のデータ入力、分析とまとめを行い、国内外の文献を精読し、比較・検討する。その後、学会発表や投稿論文などで発表、普及活動として所属する大学や介護保険施設に出向き講習会を開催することを計画している。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
23年度に93,448円の繰越金が発生した。要因としては、パイロット調査時の対象者への謝礼品が計画よりも低価格な品物になったためである。繰越金は、24年度の福祉用具のレンタル料の補足金として活用したいと考えている。それは、レンタル品としての用具が少なく、市場に出回っていないため価格の設定が読めないためである。 24年度の研究計画は、介護保険施設に4種類の福祉用具を導入し、それを活用する前と実際に活用した後の福祉用具のイメージの違いを、介護職員と要介護高齢者にそれぞれ調査することを主な目的の一つとしている。研究費の使用計画としては、以下3点に使用する予定である。 1.福祉用具の購入およびレンタル料:購入予定は、スライディングボード、スライディングシートの2種類の福祉用具であり、レンタル予定は、乗助さん、ラクーネの2種類の福祉用具である。レンタルする理由としては、乗助さん、ラクーネの福祉用具は、価格が高額なためである。移乗・移動介護にはいろいろな方法があることや、要介護者の身体の状況に応じて向き不向きな福祉用具も考えられるため、さまざまな福祉用具を揃えることは必要である。 2.調査の実施:第一段階として、福祉用具のイメージ調査を行うため、介護保険施設に在職している介護職員には質問票の送付、要介護高齢者には、実際に現地に出向き、聞き取り調査を行う。第二段階として、現地に出向き、福祉用具の活用に当たり、その説明や打合せなど行う。第三段階として、福祉用具活用後の福祉用具のイメージ調査を行うため、第一段階と同様の方法で調査を行う。それらに関連した調査票の印刷代や通信費、旅費などにあてる予定である。 3.文献検討:国内外の福祉用具の先行研究を精読し、本研究の結果と比較分析し、福祉用具活用による移乗・移動介護の介護力向上について方向性を示唆するためである。
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