2011 Fiscal Year Research-status Report
精神障がい者の家族の困難度・負担と援助ニーズに関する研究
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23530755
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Research Institution | J. F. Oberlin University |
Principal Investigator |
山口 一 桜美林大学, 自然科学系, 教授 (60550928)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | 精神障がい者家族 / 負担 / レジリエンス / ソーシャルサポート |
Research Abstract |
平成23年度は調査1として、首都圏に住む精神障がい者の家族を対象に、家族の困難・負担を多角的に評価する新たな尺度を作成して、それに関連する要因を探索することを行う予定であった。そのためにまず、さまざまな文献を収集、検討し研究計画を策定、桜美林大学研究倫理委員会の承認を得た。次に、以前作成した主観的困難度・負担調査票の改訂版、家族の回復力尺度、ソーシャルサポート尺度の原案を作成して精神障がい者の家族50名程度に予備調査を実施した。そしてその結果を踏まえ、上記の尺度に加えて、家族の属性、精神的健康度、状態・特性不安検査、当事者の属性、重症度をも合わせた調査票を完成させた。さらに、東京都内3か所、埼玉県内1か所、神奈川県内1か所の病院および地域の家族会、精神障がい者社会復帰施設に協力を要請し、調査への協力を得ることができた。調査は現在実施中であるが、平成24年3月31日までに精神障害者家族191名から回答を得ることができた。また、調査の分析を行うためのパソコン、スキャナー、SPSSソフト等を購入し、分析の準備を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初は、精神障がい者家族の困難・負担を多角的に評価する新たな尺度を完成して、それに関連する要因の解析を終了する予定であった。そのために調査の準備や協力要請を行い、調書目標の191例の調査票を回収した。しかしながら、家族の負担や困難に関連する要因が当初予定よりも多く考えられることや調査の精度を上げることが望ましいと考えられたことから、さらに多くの調査票を集める必要があると判断し、100から150例程度追加の調査を行うこととした。そのため、今年度中は調査の解析にまでは至らず、来年度に向けての課題となった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、平成23年度にやり残した調査1の追加データの収集と結果の解析を終わらせるとともに、その結果を踏まえて予定通りに調査2および調査3を行っていく方針である。調査2では、調査1で作成した尺度をもとに、家族の困難・負担と家族の心理社会的支援に対するニーズに関する全国調査を実施し、困難・負担が重度な家族が望む支援のニーズを量的調査を通じて同定する予定である。さらに、調査3として、半構造的面接を行い、家族の置かれている状況と具体的なニーズを把握するための質的な調査を行う予定である。こうした試みを通じて家族支援に関する今後の精神保健福祉政策の参考となる資料を作成したい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度は、まず平成23年度に行われた調査1を、対象者を100~150例程度増やして継続し、家族の困難度・負担調査票の改訂版(FBDS-R)を完成する。また同時に、家族の困難・負担に関係がある要因として、当事者の重症度、家族の精神的健康度、家族の回復力、社会的サポート等を取り上げ、詳細に解析する予定である。次に、専門家の助言や調査1から得られた結果を基に、新たな調査票を作成して、調査2として全国の精神障がい者家族1000から2000名程度を対象に、家族の抱える困難度・負担と精神障がい者家族の抱えるニーズの調査を行う予定である。
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