2012 Fiscal Year Research-status Report
ソーシャルワーク方法理論生成に関する実証研究-アルコール依存症者の語りから-
Project/Area Number |
23530759
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
稗田 里香 東海大学, 健康科学部, 講師 (30439715)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北川 清一 明治学院大学, 社会学部, 教授 (50128849)
志村 健一 東洋大学, 社会学部, 教授 (20265119)
稲垣 美加子 淑徳大学, 総合福祉学部, 教授 (30318688)
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Keywords | 理論生成 |
Research Abstract |
平成24年度は、実践の理論化とソーシャルワーク実践方法の開発と「支援ガイド」の作成に向けた、ソーシャルワーク実践における仮設的理論の生成に取り組んだ。 具体的には、平成23年度にライフストーリー・インタビュー法によって収集したアルコール依存症者のデマンズの解決過程に関するテクストと、そこに介在したソーシャルワーク実践の支援過程を記録したケース記録をデータ化(可視化)し、分析した結果浮上した「リカバリーの3次元構造」というソーシャルワーク方法理論における仮説的核概念の妥当性を検証した。 検証方法は、アルコール依存症者への支援に精通したベテランの現任ソーシャルワーカーの4名とアルコール依存症からの回復を経験している当事者2名の協力を得て、実践の聞き取りや現場の参与観察、当事者の回復ストーリーなどをデータ化し継続的比較分析法によって分析しながら、核概念の妥当性を確認した。それらの検証と並行して、核概念(リカバリーなど)に関する文献研究を行い、ソーシャルワーク支援理論を生成することに取り組んだ。それらの理論や概念を用いながら、平成25年度は、現場に密着した「支援ガイド」の作成につなげる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度は、平成23年度に生成した方法理論を基に、アルコール依存のデマンズ解決過程に有効なソーシャルワーク実践の理論化し、具体的な実践方法として開発し「アルコール支援ガイド(仮称)」につなげることが目的であった。実践に密着した支援ガイドを作成するために、アルコール依存症者への支援に精通したベテランの現任ソーシャルワーカー6名と、回復者2名のインタビューを分析した結果、核概念の妥当性がほぼ確認できたため、これを「支援ガイド」作成につなげる見通しを立てることができた。以上のことから、研究目的についてはおおむね達成されたと言える。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は、「支援ガイド」の試行とソーシャルワーク方法理論の再構築が目的である。 平成24年度に引き続きクリティカル・ソーシャルワークにおける脱構築分析法に依拠しアルコール依存症者への支援に携わる現任ソーシャルワーカーらを対象に、作成した「支援ガイド」を試行するワークショップを開催する(全国、4か所予定)。具体的には、アルコール依存症者への支援事例を用いて、参加するソーシャルワーカーらが、「支援ガイド」を理解したうえで、同ガイドを活用した実践について模擬的に体験し、その効果を、参加者に対して行うリサーチクエスチョン法とグループフォーカスインタビュー法によって検証する。その結果を分析し、必要に応じて文献研究を行い、既存の方法理論を脱構築しながら、より実践に則した方法理論を再構築する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度の研究は予定通り完了し、研究費210193円が残り、平成25年度に繰り越しとなった。その繰り越し分は、ワークショップの旅費に入れることとし、以下の通り研究費の使用について計画した。 設備備品については、全国4か所で開催するワークショップで使用する、携帯用ノートパソコン、プロジェクター、液晶モニターを必要とする(360000円)。消耗品については、支援ガイド作成に当たり、試作品を作成するための文具を必要とする(17000円)。国内旅費については、ワークショップを、北海道、茨城、静岡、三重(予定)で実施予定であるため、開催のための交通費、宿泊費を必要とする(485193円)。人件費・謝金に関しては、ワークショップ開催に当たり、場所や参加者の調整等にかかわる謝金(専門的知識の提供)や研究協力者に対する謝金(研究協力)、さらに、データ整理に関する協力に対する謝金を必要とする(600000円)。「支援ガイド」と「研究報告書」を作成する印刷費や、コピー代、通信費、会議費を必要とする(748000円)。 合計額 2210193円
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