2011 Fiscal Year Research-status Report
高齢者ケアに関する情報公開制度の分析-スウェーデン・日本・韓国を対象に-
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23530761
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Research Institution | Tokyo Keizai University |
Principal Investigator |
西下 彰俊 東京経済大学, 公私立大学の部局等, 教授 (80156067)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤岡 純一 関西福祉大学, 社会福祉学部, 教授 (70165356)
宣 賢奎 共栄大学, 国際経営学部, 教授 (90382796)
小関 祐二 日本赤十字広島看護大学, 看護学部, 教授 (10373127)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 高齢者ケア / 情報公開 / 第三者評価 / スウェーデン / 韓国 / 日本 |
Research Abstract |
本研究では、措置制度に基づき高齢者ケアを展開するスウェーデンおよび介護保険制度を持つ日本と韓国を対象に、事業者情報公開制度と第三者評価情報公開制度の内実を実証的に調査研究し、この研究成果をふまえ、「利用者である高齢者(以下、高齢者と略す)が本当に望む情報公開のあり方の基本的モデル」を構築することを目的とする。 平成23年度の研究計画は、3か国の(A)=事業者情報公開制度に関する現状を、各国の関係機関HPを精査し情報を収集することであり、加えて、3か国の(B)=第三者評価に基づく情報公開制度について、関係機関HPを調べ情報収集することである。次に、スウェーデンおよび韓国の関係機関に出張しインタビュー調査を行う。これにより各国の第三者評価の具体的な項目を網羅的に把握することが可能となり、評価項目の妥当性を検証することができる。同時に、第三者評価結果の公表方法、結果の活用方法についても検証する。日本に関しても同様の方法論を用いる。 以上の研究目的、研究計画を踏まえ、今年度は、スウェーデンに出張し、情報公開の関係機関である社会庁およびスウェーデン・コミューン・ランスティング連合会を訪問し、両機関において責任者に対してインタビュー調査を行っている。特に、両機関が共同して発行したOPPNA JAMFORELSER 2010 Vard och omsorg om aldre という報告書における情報公開の結果に対するコミューンの反応、情報公開をする上でのデータ収集の方法論に関する問題点、今後の情報公開計画等のついて確認した。韓国に関しては、保健福祉部、国民健康保険公団を対象にインタビュー調査を実施し、在宅サービスおよび施設サービスの各事業者に対する第三者評価の実施形態、この評価を踏まえての情報公開のあり方、第三者評価による情報公開の公表計画等についてインタビュー調査を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要で述べた通り、平成23年度には、当初の計画通り、研究代表者および研究分担者が、それぞれスウェーデンの社会庁、スウェーデン・コミューン・ランスティング連合会、韓国の保健福祉部、国民健康保険公団に出張しインタビュー調査を行うことができた。これにより各国の第三者評価の具体的な項目を網羅的に把握することが可能となった。評価項目の妥当性についても検討することができた。加えて、第三者評価結果の公表方法、結果の活用方法について検証作業に入ることができた。日本に関しても同様の方法論を用いて研究を進めてきたところである。 研究の学術的背景および予想される結果と意義で、記載した通り、スウェーデンが最も発展していることが明らかになった。ただし、一部の情報公開の内容に関しては、基礎自治体や研究者の反発が強く、改良・改善を余儀なくされている部分が存在することも把握できた。 現在までの達成度としては、以上のような現況にあることを踏まえ、自己評価としては、「おおむね順調に進展している」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
(今後の推進方策) 平成24年度に関しては、当初の研究計画通り、スウェーデン、韓国、日本の基礎自治体(1ないし2か所)を対象に、当該自治体の在宅一般高齢者300~400名を対象に、自国の高齢者ケアに関する情報公開システムへの理解度を含め、アンケート調査を実施する。現在、調査協力自治体を選定し、アンケート調査項目の内容に関する了解を求めているところである。現在交渉中の基礎自治体は、スウェーデンのハリーダ・コミューン、エステルシュンドコミューンであり、韓国については、チャンウォン市である。日本については、三重県四日市市である。特にスウェーデンに関しては、高齢者ケアの担い手である介護職員へのアンケート調査も基礎自治体との交渉の過程で可能となったので、合わせて実施する予定である。アンケート調査票を回収後は、データを入力し、集計分析まで進める予定である。 以上のアンケート調査を実施する中で、個別インタビュー調査への協力者を募り、各国数名の在宅一般高齢者にインタビューを実施する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
(次年度の研究費の使用計画) 3か国とも、在宅一般高齢者が、自国の高齢者ケアに関する情報公開制度をどの程度知識を持ち、どの程度活用できているかを中心にアンケート調査票を配布する。スウェーデンと韓国に関しては、現地の研究協力者に発送業務を委託する必要がある。発送業務に伴い人件費と郵送が必要となる。アンケート調査を実施する前に、基礎自治体担当者および現地研究協力者と綿密な打ち合わせを行う必要があるので、研究代表者の西下および研究分担者の藤岡がスウェーデンに出張する計画である。旅費の執行が必要である。韓国に関しては、同様にアンケート調査を実施する前に、基礎自治体担当者および現地研究協力者と綿密な打ち合わせを行う必要があるので、研究分担者の宣が出張を行う。旅費の執行とともに、発送業務に関する人件費および郵送料が必要となる。さらに、日本でのアンケート調査に関しては、研究分担者の小関と代表者の西下が担当する。日本でのアンケート調査においても、発送業務に関する人件費および郵送料、国内旅費が必要となる。アンケート調査が終了後、データを入力するので人件費が必要である。平成24年度は、旅費と人件費が主要な直接経費となる。 平成25年度は、平成23年度および24年度の研究成果の取りまとめを行い、研究報告書を作成する。印刷代を執行する予定である。なお、報告書作成に先立って打ち合わせを行う必要があり、国内旅費として執行する予定である。
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