2013 Fiscal Year Annual Research Report
高齢者ケアに関する情報公開制度の分析-スウェーデン・日本・韓国を対象に-
Project/Area Number |
23530761
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Research Institution | Tokyo Keizai University |
Principal Investigator |
西下 彰俊 東京経済大学, 公私立大学の部局等, 教授 (80156067)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤岡 純一 関西福祉大学, 社会福祉学部, 教授 (70165356)
宣 賢奎 共栄大学, 国際経営学部, 教授 (90382796)
小関 祐二 日本赤十字広島看護大学, 看護学部, 教授 (10373127)
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Keywords | 高齢者ケア / 情報公開 / スウェーデン / 韓国 / 日本 |
Research Abstract |
最終年度では、当該高齢者が本当に望む情報公開の在り方に関する基本モデル構築とその提示を研究の目的とした。高齢者介護に関する情報公開が最も進んでいるスウェーデンに関しては、2007年以来、大別して2種類の情報公開が実施されてきている。一つは、高齢者ガイド(エルドレガイデン)と呼ばれる詳細な情報公開である。スウェーデンには3000か所を超す介護の付いた特別住宅が存在するが、そのすべてに関して、介護の質に関する客観的な評価が行われている。しかしながら、2年置きに、評価項目が変更されるなど、継続性という点で問題を残している。高齢者が本当に望む情報公開ということからすれば、介護の質を測定する項目選定に、PROやSPFなど高齢者団体のメンバーを入れるなどの工夫が必要である。 韓国に関しては、保健福祉部が、大項目、中項目、小項目に分けられた極めて詳細な客観的な評価項目について、保険者である健康保険公団が調査を行っている。在宅ケアおよび施設ケアの上位10%のサービス提供者が介護報酬の加算を受けられるというインセンティヴが設定されており、優れたシステムであるが、サービス利用者である高齢者からの評価は限定的にしか行われておらず、この点が問題である。広い範囲で利用者による漢族度調査が行われることが、今後の課題である。 最後に日本に関しては、5分類68項目の当該サービス提供者による自己評価が行われ、あわせて第3者機関による外部評価も行われており、その結果がWAMNETを通じて情報公開されている。日本については、在宅ケアも施設ケアもサービスレシーバーである利用者による満足度調査は全く行われていない。介護の質を高めるためには、当事者による評価が不可欠である。3か国とも情報公開に精力的に取り組んではいるが、課題も多いと言わざるを得ない。
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