2011 Fiscal Year Research-status Report
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23530765
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Research Institution | Japan Women's University |
Principal Investigator |
木村 真理子 日本女子大学, 人間社会学部, 教授 (00266462)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 当事者の役割 / 可能性の開発 / 専門職の役割 / 心理社会リハビリテーション / 創造的活動 / 関係の変化 |
Research Abstract |
カナダ滞在中:ブリティッシュコロンビア大学とコースタルヘルスBC州精神保健サービスを中心に現地調査、および資料収集を実施。精神障害をもつ人々(アディクションを含む)のリハビリテーションにもちられる伝統的医療や治療に加え、代替的医療や支援の方法(たとえば、ヨガ、東洋医学、アートなどの創造的活動、リカバリーセンター等の当事者による自主的・主体的活動)および専門職と当事者のより水平な関係や当事者の構築する世界の理解(ナラティブやジャーナル、創作活動による作品の活用など)の実態を聞き取りや参加観察、実際のサービス提供場面にて調査を実施。研究テーマにかかわる論文執筆の準備:コミュニティメンタルヘルスシステムの歴史的発展、メンタルヘルスソーシャルワーカーの養成と技術の歴史的変遷、創造的活動が精神保健問題を持つクライエントに及ぼす影響について実践報告書執筆。先行研究の文献収集:アートを用いた当事者の可能性開発や創造的活動への導入とその意義、当事者運営による精神保健サービスの成果とメインストリームサービスの比較に関する文献を中心として収集。帰国後:「精神保健サービスの利用者の新たな役割と可能性の開発」に関する研究会開催:計2回(2月、3月)。この研究会では、専門職の役割と求められるスキルや能力について、ミクロからマクロまでこれまでの同領域で蓄積された知識や技術をレビューしつつディスカッションを行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在の研究達成度は30%といえる。これまでの先行研究のレビュー、研究会でのディスカッションから、同テーマにかかわる専門職の役割にも新たな役割と意味づけが必要との評価を得た。自己点検による評価:研究会を通じて種々の観点から意見交換を始めたことが最大の成果であるといえる。これにより、ソーシャルワークに特化し、従来のケースワーク中心に研究を進めてきた研究者にとって、心理社会リハビリテーション分野や当事者の自立・エンパワメントモデルに含まれる積極的な方法論との間に技術や理念の上で多少のギャップが明らかとなってきた。今後、さらにソーシャルワークとリハビリテーションのモデルを基礎とする実践による成果を突き合わせて、EBPの比較だけでなく、理論的比較も行ってゆきたい。また、相違が生じる理由や論拠などについてもディスカッションを進めてゆきたい。研究計画の再検討:元の研究計画では、当事者運営による組織での調査を計画していたが、当事者と専門職のかかわりから生じる課題に基づき、調査を行ってゆくことが必要と判断した。2年度にこの観点からさらに研究を進めて、調査を実施する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も継続して研究会を開催、多様な分野で働く研究者や実践家から、精神保健サービスにかかわる課題を聞き取り、ディスカッションを行う。キーワードで、新たな専門職役割:「当事者の新たな役割と可能性に呼応するもの」を探る先行研究をキーワードで探り、概要付きの文献目録(ビブリオグラフィー)を作成する予定。精神保健分野(てんかんや発達障害を含めて研究の幅を広げてゆくとともに、これらの領域から精神障害領域への寄与についてもディスカッション、文献研究からも示唆を得ることとする。目的は研究協力者と情報の共有化を行い、研究内容の深化と促進を図る。研究の方向を明確にし、焦点化する:専門職の側からのアプローチとするか、当事者を加えた調査とするかについても、研究協力者らの意見も取り入れながら、研究方向の明確化を進める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
5月:「当事者の役割開発の動向に関する新たな方向性」当事者により構成されるクラブハウスモデルにおける当事者スタッフの役割の意義を考察7月:国際ソーシャルワーク会議開催に際して、北欧4国、エストニアに出張、クラブハウス、家族会などを含む当事者の新たな役割を当事者および専門職の聞き取りから探査的に調査専門職の新たな役割に関する兆しを学術的および体験的にキャッチするために、会議および探査的調査を実施引き続き2か月に1回の程度の割合で研究会を開催、キーワードとともに、新たな専門職役割、当事者の役割を抽出、さらに、文献のレビューを行い、発表の機会を探る
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