2012 Fiscal Year Research-status Report
IMR(リカバリーと病気の自己管理プログラム)普及の促進及び評価研究
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23530766
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Research Institution | Japan Lutheran College |
Principal Investigator |
福島 喜代子 ルーテル学院大学, 総合人間学部, 教授 (40307997)
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Keywords | リカバリー / 科学的根拠 / ソーシャルワーク / 精神保健 / 障害者福祉 / グループ / 効果検討 / IMR |
Research Abstract |
本研究は、「IMR(リカバリーと病気の自己管理プログラム)」を普及するにあたっての促進要因と障壁を明らかにし、効果検証を行う研究である。本年度は、昨年度実施したIMRの実施意向調査を分析し、その結果を精神障害者リハビリテーション学会において発表した。東京都内の障害者支援施設を対象にした調査結果では、IMRの認知度は49.5%で、実施施設は10施設であった。IMRの実施意向は、実施していない施設の約2割にあり、実施意向には、組織の姿勢やIMRの認知度が影響していた。他の科学的根拠に基づくプログラムの実施施設は、ACT:1施設、FPE:9施設、IPS:8施設であった。実施していない施設では、「スタッフ(専門性を有する人材)の養成・確保」「スタッフの意識・やる気の向上」「研修の機会」「スキルの向上」「時間」などマンパワーの不足や人材養成の必要性と、「財源・予算の確保」「診療報酬上の位置づけ」「行政の補佐・働きかけ」などが阻害要因としてあり、今後対策が求められていることが明らかとなった。 IMRの効果検証については、(1)障害者支援施設を対象に、説明会・研修会を実施した。(2)研究協力施設を得て、IMR-L(ルーテル学院大学版配布資料)を用いた効果検証研究を開始した。(3)各研究協力施設において、IMRが週に1回、毎回1時間半から2時間、4か月から8か月かけて実施されている。(4)各研究協力施設で任意でIMRプログラムに参加した精神障害者に、事前・事後・フォローアップ調査への調査協力依頼をして、任意で調査への参加を得ている。(5)研究協力施設のスタッフに対しては、グループ及び個別でのスーパービジョンを提供している。 これらのことから、IMR実施の阻害要因、促進要因が明らかになり、IMR-L版配布資料を用いたIMRプログラムの効果が検証されつつある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
IMRの実施意向、及び阻害用意、促進要因については、調査結果の分析から明らかにされた。 また、IMRの効果検証については、(1)障害者支援施設を対象に、説明会・研修会が実施された。(2)研究協力施設を得て、IMR-L(ルーテル学院大学版配布資料)を用いた効果検証研究を開始している。(3)各研究協力施設において、IMRプログラムが週に1回、毎回1時間半から2時間、4か月から8か月かけて施されている。(4)各研究協力施設で任意でプログラムに参加した精神障害者に、事前・事後・フォローアップ調査への調査協力を得つつある。事前と事後調査の一部は回収した。(5)研究協力施設のスタッフに対しては、グループ及び個別でのスーパービジョンを提供している。などのことから、おおむね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度においては(1)各研究協力施設において、引き続き、週に1回、毎回1時間半から2時間、4か月から8か月かけて、IMR-L(ルーテル学院大学版配布資料)を用いたIMRプログラムの実施がなされる、(2)任意でプログラムに参加した精神障害者の、事前・事後・フォローアップ調査への協力を得る、(3)調査結果を集計し、分析する、(4)研究協力施設に対しては、グループ及び個別でのスーパービジョンを提供する、(5)Webサイトなどを通して、IMRプログラムの周知を図り、その効果などについての情報提供を行う、(6)学会等へ成果を公表する、などを行っていく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
3年目の平成25年度では、(1)運営委員会開催のため、文具、消耗図書費、会議費(2)研究申請者らの学会報告等のための旅費、(3)IMR-L(ルーテル学院大学版配布資料)の印刷費やそのほかの資料のコピー代金、(4)スーパービジョン等への協力施設スタッフの交通費、(5)当事者等への調査協力謝礼、(6)IMR普及や情報提供のためのWebサイト管理運営費が必要となる。また、(7)調査分析のためのデータ分析費用や、調査の補助のための研究補助員の賃金が必要となる。
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