2011 Fiscal Year Research-status Report
専門家としての自己生成プロセスにおける「痛みを伴う臨床体験」がもつ意味の探求
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23530775
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Research Institution | Seirei Christopher University |
Principal Investigator |
福田 俊子 聖隷クリストファー大学, 社会福祉学部, 准教授 (20257059)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村田 明子 聖隷クリストファー大学, 社会福祉学部, 助教 (20410508)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 痛み |
Research Abstract |
先行研究の再検討を通じて、今年度に取り組んだ課題は2点ある。主に、P.Bennerらによって著された現象学的アプローチに関する文献を吟味した結果、研究方法として定式化することが困難な本アプローチを用いる際には、諸現象の「『何を』取り上げ、それを『いかに』『記述する』か」が非常に重要になることが明らかとなった。 中でも、「記述する」ことを目的とした研究においては、量的にある一定以上のデータを収集することだけではなく、質の良いデータを得ることも重要になる。このようなデータを得るためには、具体的なインタビュー調査の実施方法に関する検討が必要になると考えられた。そこでこれを第1点目の課題とした。現象学的アプローチにおけるインタビュー調査について具体的に書かれた文献は非常に少ない。西村ユミによれば、インタビューでは、「聞き手」と「話し手」という主客関係ではなくなるような関係の形成が重要であると言う。つまり、インタビューとは、「聞き手」が「話し手」から「聞き出す」のではなく、「話し手」と「聞き手」との関係性における相互作用を活用しながら、物語を紡ぎだす場にならなければならないのである。そのような場を創造するために、「聞き手」はいかなる構えでインタビューに臨めばよいのか。この点について考察した。 さらに、本研究ではデータから立ち現われてくる現象を「痛み」「時間性」「受動性」を観点として記述することを目的としている。今年度はフッサールの『デカルト的省察』の文献吟味を通じて、「受動性」に焦点をあてて検討した。これが第2の課題である。 そして、インタビュー調査の設計及び調査依頼の実施については、前者がほぼ完成し、倫理委員会の承認を得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
先行研究の再検討については、第2課題の達成が不十分であった。すなわち、現象学に関する「時間性」「受動性」のレビューは後者のみの検討となり、「痛み」にかかわる文献収集も検討半ばとなっている。 さらにインタビュー調査に関しては、調査を実際に依頼するところまでは到達することができなかった。 両者ともに、体調不良及び学内業務の都合が理由であった。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、今年度の計画の遅れを取り戻す予定である。先行研究の再検討については、残された課題である「時間性」及び「痛み」にかかわる文献を収集し、吟味する。 そして、インタビュー調査については、これまでの研究成果を1冊の報告書としてまとめ、6~7月にそれを依頼者に郵送し調査の依頼をする。実際の調査は、8~9月及び2~3月に実施する予定である。なお、調査データはすぐにテキスト化し、読み込み・解釈を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
先の方策にしたがい、研究費は主として、(1)先行研究の収集にかかる費用、(2)報告書の製本・印刷、輸送費、(3)インタビュー調査にかかる旅費・謝金・テープ起こし代、として使用する予定である。
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Research Products
(1 results)