2012 Fiscal Year Research-status Report
専門家としての自己生成プロセスにおける「痛みを伴う臨床体験」がもつ意味の探求
Project/Area Number |
23530775
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Research Institution | Seirei Christopher University |
Principal Investigator |
福田 俊子 聖隷クリストファー大学, 社会福祉学部, 准教授 (20257059)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村田 明子 聖隷クリストファー大学, 社会福祉学部, 助教 (20410508)
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Keywords | 痛み / 節目 / ソーシャルワーカー / 専門職業的自己 |
Research Abstract |
本研究は、精神保健福祉領域のソーシャルワーカーの「痛みを伴う臨床体験」に注目し、このような体験が社会福祉専門家としての自己生成プロセスにおいて、どのような意味をもっているのかを解釈し、記述することを目的としている。 今年度はまず、本研究テーマが生成されるきっかけとなった研究代表者及び分担者を含んだ共同研究の成果を報告書としてまとめ、さらに日本社会福祉学会にてポスター発表を行い、今後の研究を進行する上での助言を得た。それらを活かしながら、インタビュー調査の計画を再度検討し、改めて倫理委員会に提出して承認を得た。本研究では約20名を対象とし、各2回の調査を実施する予定であるが、今年度は、14名の対象者に、1回ないし2回のインタビューを行った。調査に先立ち、一部の調査対象者には先の報告書を配布したうえで、今回の調査を依頼した。 そのうち、学生を対象としたインタビューデータの分析を進め、「素人性」に着目した観点から論文としてまとめた。さらに、現象学を手がかりとしたデータの分析や記述に関するあり方を問う視点でも、他のデータ分析を続けている。分析にあたっては、外部の研究会等の場を活用し、助言・指導を受けながら進めている。 以上のプロセスを経て今年度の取り組みとして、次の点が明らかとなった。1つは、ソーシャルワーカーの専門職業的自己の生成プロセスにおいて重要になるのは、「痛み」を伴う臨床体験のみではないため、インタビュー調査の際には「痛み」にのみ焦点をあてて聞き取るのではなく、「節目」となる臨床体験にまで幅を広げて聞き取ることが重要であること。もう1つは、データ分析の結果、専門家としての技能という視点ではなく、「専門家になる手前にある事象」に注目し、木村敏の「時間性」の概念を参考にしながら、今後の分析を続けていく必要があるという点である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
3カ年にわたる研究の2年目となる今年度においては、1年間で取り組むべき課題は達成できた。しかしながら、研究期間全体でいま一度捉えなおしてみると、1年目の進捗状況の遅れがそのまま影響し、やや達成度は遅れていると言わざるをえない。具体的には、約20ケースのインタビュー調査をほぼ全て終了する予定であったが、今年度はそこまで到達することはできなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
8~9月には、集中して残りのインタビュー調査を実施する。データが得られたらすぐにテキスト化し、読み込み・解釈を行う。1 2月までにはデータ分析を終了させ、1月より先行研究と照らし合わせながら検討し、3月は研究全体を総括する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
先の方策にしたがい、主として、①インタビュー調査にかかる旅費・謝金・テープ起こし代、②文献収集費、③報告書の製本・印刷・郵送費、として使用する予定である。
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Research Products
(2 results)