2012 Fiscal Year Research-status Report
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23530777
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Research Institution | Chukyo University |
Principal Investigator |
大友 昌子 中京大学, 現代社会学部, 教授 (30060700)
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Keywords | 国際情報交換 / ベトナム / 韓国 / 台湾 / 中国 |
Research Abstract |
東アジアに位置する中国、台湾、韓国、日本は中華福祉文化圏に属するという仮説のもと、研究を推進した。その結果、この中華福祉文化圏にはベトナムが入ることを確認し、現地の調査と史資料収集を行った。 とくに、中国の11世紀に誕生する「朱子郷約」は、朝鮮半島ならびにベトナム北部に受け継がれており、とくにベトナムでは現代においても、このムラや地域の規約が現存し機能している。ベトナム国内の、ホイアンおよびハノイ近郊のドンナム村の規約を入手できた。 また、韓国においても、15世紀からの「朱子郷約」の資料集を入手した。また、この伝統的な郷約を日本の統治時代に再興して活用した朝鮮総督府文書の行政資料も収集した。 台湾と日本については、「朱子郷約」というムラの規範はないが、性格的に近接性の高い「保甲制度」や「五人組」の地域規範が行われた歴史的経緯があり、今後、こうした東アジアにおける広域圏での地域規範の比較研究を、データにもとづいて行うことができる基盤を築くことができた。 歴史的、伝統的な東アジアにおける地域規範の発掘と、日本の植民地統治期の社会事業政策とをリンクさせながら、比較的長い時間軸のなかで東アジアという空間軸を比較研究していくことの可能性がみえている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
1.東アジアにおける福祉文化的基盤の比較研究が、本研究の課題であるが、当初いかなるデータに基づくのか、やや漠然とした研究計画であったが、ベトナムを含む東アジアに共通するあるいは近似した「地域規範」があることを確認することができた。 2.歴史的な「地域規範」として、ベトナムと韓国には「朱子郷約」があり、韓国は日本統治下まで、ベトナムは現在も、この「地域規範」が弱体化の傾向はあるものの機能していることが判明した。さらに、ベトナムではこれらのムラの「地域規範」の現物史資料のコピーを入手できたことは、予想外の成果であった。 3.現在、これらの史資料の翻訳をすすめており、まずは、韓国とベトナムの地域規範の比較研究が可能となると思われる。 4.さらに、すでに入手している台湾の保甲制度、日本の五人組、中国の「朱子郷約」を集約し、比較検討を東アジアスケールで行うことができる可能性が高い。
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Strategy for Future Research Activity |
1.ベトナムでは、ハノイの漢文研究センター、ハノイ近郊のドンナム村での現地調査を行い、地域規範形成の過程や、人々の生活の共同性の特質についてその実態を把握する。 2.韓国では、安東のムラの郷約が有名で、この安東の地域で文献蒐集と聞き取り調査などを行う。韓国はベトナムと異なり、伝統的な地域規範はほとんどないことから、文献研究および総督府文書による研究となる。 3.中国、台湾、日本について、さらに歴史的史資料を収集する。台湾については保甲制度関係の総督府文書の蒐集、中国については文献を蒐集する予定である。日本については、各地に五人組の史資料が存在しており、これを収集する。 今回の研究ではベトナムと韓国の史資料収集や研究推進をすすめることが必要であることから、おもにこの2つの国の研究に集中する。 東アジアに共有される地域規範の特質を抽出し、この地域が中華福祉文化圏の性格をもつことを明らかにすることが本研究の目的である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
1.研究計画に記したように、ベトナム、韓国を中心に調査を実施することから、旅費、通訳代、翻訳料、文献蒐集費用などが主たる経費となる。すでに、通訳者や翻訳者は確保しており、円滑な研究の推進が見込まれる。 2.ベトナム北部、中部では、1回に少なくとも10日前後の滞在をするが、8月と2月の実施を予定している。 3.韓国安東地域で8月、9月に現地調査を実施する。韓国ではソウル、釜山などでの史料収集も実施する。 4.その他必要に応じて、台湾、中国、日本国内さらに、アメリカの公文書館での史料収集を予定している。 5.昨年度、413,064円の残額が生じた。これはアメリカの国立公文書館での調査および史資料収集のための費用であったが、体調不良のため実施ができなかったことにある。この残金は本年度に実施するベトナム、韓国での調査のうち、おもに旅費、史資料収集費、翻訳謝金にあわせて使用する予定である。この費用で、アメリカでの東アジア史資料収集もあわせて行う可能性もある。
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Research Products
(2 results)