2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23530779
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Research Institution | Nihon Fukushi University |
Principal Investigator |
岡 多枝子 日本福祉大学, 社会福祉学部, 准教授 (30513577)
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Keywords | 福祉系高校 / レリバンス / 職業的レリバンス / 教育的レリバンス / 負のレリバンス / プログラム開発 / 教養的福祉教育 / 専門的福祉教育 |
Research Abstract |
社会福祉学研究領域における,高校福祉教育の研究は少数に留まる.特に,「持続可能」な福祉教育や,「職業的レリバンス及び教育的レリバンス」の文脈で論じた研究は寡少である.従って本研究では,当該年度までに明らかにした福祉系高校における「職業的及び教育的レリバンス」の研究成果を前提として,高校生と福祉現場とのミスマッチによって生ずる「負のレリバンス」に対する教育的な支援の方策を検討した.その結果,「負のレリバンス」は,①福祉に対する目的意識や親和性の低さ,②現場実習までの学習や準備の不足,③実習中の報告や相談などコミュニケーションの不足,④施設側と高校教員の連携のしづらさ,⑤事後指導の不十分さなどが,複合的に関連していた.従って,このようなリアリティショックを巡る矛盾や葛藤の除去・軽減に向けた教育的支援が必要であるとの結論を得た. また,効果的な福祉教育プログラムの開発を行い,福祉教育テキスト「Welfare-福祉ー」を出版することができた.現在,福祉系高校を中心に試用及び実験授業を実施している段階である. さらに,キャリアラダー志向による「上昇的レリバンス」の存在を,福祉専門教育を支える職業的レリバンスと,福祉教養教育を支える教育的レリバンスの関連に着目して検討した.その結果,キャリアラダー志向は,マクロ(日本の福祉系高校に関する社会福祉教育政策)・メゾ(福祉系高校の学校経営)・ミクロ(生徒の学び)の各レベルにおいて,社会保障審議会で示された福祉系高校卒業生の福祉分野に密接に結びついていることが明らかになった.そして,福祉観を醸成する福祉教育やボランティア活動が,青年期の早期離退職や不就労の社会問題に対して,有効な就業力エンパワーメントの基軸であるとの示唆を得た.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では,6つの研究課題を解明する目的で,調査・分析及び研究・開発を包括的に実施する計画を立てて進めてきた.特に,2007年に実施した全国福祉系高校に対する悉皆調査の継続調査として,同一内容と方法で実施したアンケート調査において,当初の予測を大幅に上回る2万枚以上の回答を得ることができた.これは,全国福祉高等学校長会理事長等の協力を得て実施したが,調査設計段階で,3年生以外の福祉科生徒及び普通科・他の専門学科の生徒への調査数が大幅に増加した為であり,これによって比較調査の妥当性や精度がより明確になったといえる.しかし,その反面,調査データの処理や分析に多大なる労力を要した為に,当初計画にあった海外フィールドワークや他の校種,福祉現場などへの調査計画が十分に進んでいない現状である.従って,計画全体としては,福祉系高校のレリバンスに関する詳細な研究成果が期待される反面,包括的な研究として推進しているとはいえず,最終年度の研究推進によって,当初の目的を達成する方策を講じる必要がある.
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Strategy for Future Research Activity |
1)福祉系高校生質問紙調査のデータ整理と分析:①2007年調査と2013年調査の比較によって,a.入学動機と実習経験及び進路選択の関係性,b.資格校と教養校の生徒のアイデンティティ及び進路選択推移,c.正のレリバンスと負のレリバンスの関係性を検討する.②福祉系高校生と普通科・他の専門学科の高校生の比較によって,d.入学動機及び進路選択の関連,e.職業選択時に重視する価値の比較,f.高校生活への評価の比較を行う.③福祉系高校生の入学時から卒業時までのキャリア形成プロセスを検討し,実習経験の意義と必要な教育的支援を検討する. 2)福祉系高校卒業生への面接調査:2007年から2010年までに実施した調査と同一の調査項目を柱として実施し比較検討を行う.対象数約30名.(前回も約30名).3)福祉教育プログラムの開発を行う.特に,福祉教育テキスト「Welfare-福祉-」を用いた福祉教育に対する参与観察を通して,福祉教養教育のあり方を検討する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初の計画では,海外フィールドワークを実施する予定であったが,アンケート調査の回収数が当初予測を大幅に上回った為に,調査結果の処理に時間と予算を割くことになった.従って,出張旅費の執行ができず次年度使用額が生じることになった. 調査に協力をいただいた全国福祉系高等学校校長会の全国大会(8月,高知市開催予定)において調査報告を行う為の旅費として執行する予定である.また,次年度予算は主として,調査結果データー処理及び分析に充てる予定である.
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Research Products
(2 results)