2012 Fiscal Year Research-status Report
社会福祉における宗教性(スピリチュアリティ)の国際比較研究
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23530786
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
木原 活信 同志社大学, 社会学部, 教授 (20275382)
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Keywords | スピリチュアリティ / ソーシャルワーク / 社会福祉 / 無縁社会 |
Research Abstract |
本研究の目的は、根源的な福祉の深層部分としての価値意識それ自体に焦点をあてるというものであった。とりわけ、社会福祉における宗教性(スピリチュアリティ)に着目していくものである。 その際、宗教性を教義としての抽象概念ではなく、社会福祉思想との関連から以下の二つの方向で具体的に検証を試みた。一つは近代以降に活躍した社会福祉事業家(ソーシャルワーカーたち)の宗教性を分析していき、その教派性や宗教意識(スピリチュアリティ)について思想史的に分析する。二つ目は、それらをベースに社会福祉におけるスピリチュアリティの国際比較を試みるものである。 今年度においては、国内における基礎文献調査、関連資料の収集分析、スピリチュアリティ概念の文献学的な再検討、を中心に行ってきた。その結果、近年、社会福祉と宗教との関連をとりわけその教義性(ドグマ)としてではなく、その宗教性に着目したスピリチュアリティ(霊性)が世界的に注目されることを文献から裏付けることができた。そのような中で、特に重要な点は、孤立無援状況という社会問題と宗教、キリスト教との問題について論点を明示することができた。また自死、自殺問題について、宗教との関連から議論を深化させることができた。 またこれまで研究をしてきた人物史を中心とした社会福祉研究において十分な検討がなされていなかったのが、其々の実践活動の背後にある宗教性の側面についてもさらに検討を加え、Jane Addamsにみられるクエーカイズム、HenriNouwenのカトリシズム、山室軍平の救世軍思想、石井十次のミュラー主義等の霊性についての考究する予備的な準備段階に入った。かれらの実践を支える根底になるだけでなく、その実践内容それ自体に影響を及ぼし重要な要素であることがわかってきたからである。この点を問題意識として今後さらに、宗教意識との関連から一層明らかにしていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
文献研究において基礎となる先行研究などの収集および分析を一層着実にすすめているところである。また実践的応用課題として、自殺問題からさらに宗教と臨床的なかかわりとして孤独死、無縁社会の問題をとりあげ、宗教問題から議論して文献研究に幅をもたせることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
北米、ユーロ圏、韓国あるいはブータン、における文献調査、文献収集における資料収集の整理を実施すること。 ロヨラ大学のリー教授、カンザス大学のエドワード・カンダ教授ほか国際的に活躍する研究者よりスピリチュアリティおよび本研究に関するレヴューを受け、国際比較の視点を徹底する。宗教、スピリチュアリティ関連の学会の連携設立に尽力しつつ研究連携をはかる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
PCを購入するほか、海外渡航の旅費を中心に使用する。
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Research Products
(6 results)