2013 Fiscal Year Annual Research Report
向老期知的障害者家族の安寧な日常生活のためのサポートプログラムの開発的研究
Project/Area Number |
23530789
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Research Institution | Kansai University of Welfare Sciences |
Principal Investigator |
得津 愼子 関西福祉科学大学, 社会福祉学部, 教授 (50309382)
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Keywords | 家族レジリエンス / 向老期 / 知的障害者家族 / 中途障害者家族 / 家族主体 / ファミリーソーシャルワーク |
Research Abstract |
本研究は障害者家族が、成人となった子どもの将来について安心して向老期を迎え、その日常生活を送ることができるようなサポートプログラム開発のために、現状とニーズを「家族レジリエンス概念」をキイワードに探るものであり、今年度は、以下の3つの調査の分析結果からにより、ファミリーソーシャルワークに資する家族レジリエンス概念をより明らかにした。 調査1:中途障害者家族の系時的調査 語用論に基づく会話分析、M-GTA による分析、TEM(複線径路・等至性モデル) による分析などによった。その結果として家族関係は家族のコミュニケーションを反映すること、家族はいずれ自分たちが介護できなくなることを予期しており、家族と本人が主体となりうる良質の社会福祉サービスや社会保障の担保が必要であることが明らかとなった。 調査2:強度の行動障害を持つ知的障害者家族の聞き取り調査のM-GTA分析 家族は、自らの高齢化、いわゆる「親なき後」について、それほど心配をしていないことが特徴的に浮かび上がってきた。丁寧な地域移行や、施設との密接なつながりが、家族の不安を軽減するものであった。 調査3:障害児(者)家族と一般家族への質問紙による調査 家族の特性によって余り大きな相違は見られず、むしろ専門的施設や専門家とつながっている障害児(者)家族の方が安定感は大きかった。 これらの結果から、家族と社会福祉サービスが密接につながっていること、量と質の充実が不可欠であること、家族レジリエンスを信頼することが「家族主体」となり、有用であることが改めて明らかとなった。今後の課題は、現在たたき台を試用中の専門家対象の「家族主体」のファミリープログラム開発である。
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