2012 Fiscal Year Research-status Report
新生児集中治療室入院児へのソーシャルワーク実践モデルの開発研究
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23530792
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Research Institution | Kobe Gakuin University |
Principal Investigator |
宮崎 清恵 神戸学院大学, 総合リハビリテーション学部, 教授 (90268558)
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Keywords | 実践モデル開発 / ナビゲーションシステム / 周産期・新生児医療 / ソーシャルワーク |
Research Abstract |
本研究の目的は周産期から始まる退院後も含めたNICU入院児へのソーシャルワーク実践モデルを開発することである。 平成24年度の研究実施計画は①実践モデルの概要を示す、②実践モデルの援助手続き部分をさらに精緻化しガイドブックを作成する、③ガイドブックの内容をシステムへ落とし込むための項目を確定させ、データベースと援助ガイドが連動していくシステム仕様の策定を行う、④ナビゲーションシステムのアウトラインを使用してのワークショップを行い、その効果を確認しさらに改良を加える、としていた。 研究実績としては、①実践モデルの開発過程と最終案を博士論文としてまとめた、②実践モデルの援助手続き部分に関して、援助の構成要素の内容をシステムへ落とし込むための項目を確定させデータベースと援助ガイドが連動していくシステム仕様の策定を行った、③現任の医療ソーシャルワーカー40名を対象として第3回NICU入院児ソーシャルワーク研修を開催し、実践モデルについての伝達を行った、④ナビゲーションシステムの試用版を作成し医療ソーシャルワーカー44名にプレゼンテーションを行い、意見を聴取した、などである。 研究の成果の意義は、周産期・新生児医療分野におけるソーシャルワークの標準的な実践の枠組みを提示し、さらに援助の局面と援助の構成要素を示してソーシャルワーカーの実践の質の向上と標準化への道筋を示したことである。 現代は、子供の出生というライフイベンツから始まる養育不安や養育困難さらには児童虐待のリスクに対して予防的に介入することの必要性が増しており周産期・新生児医療においても多職種連携の重要性がますます注目されている。研究の重要性は、多職種チームの一員として生活課題の支援にもっぱらかかわるソーシャルワークの質の向上に貢献できることである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度の研究計画と照らし合わせると、①実践モデルの概要を示すという計画に対しては、「ハイリスク新生児への医療ソーシャルワーク実践モデルの開発的研究」という題目で博士論文を完成することでほぼ達成した。 ②の「実践モデルの援助手続き部分をさらに精緻化しガイドブックを作成する」という計画に対しては、NICU入院児ソーシャルワーク研修のテキストを作成し、40名の受講生に実践モデルの伝達研修を行ったことでほぼ目的は達成できたと考える。 ③の「ガイドブックの内容をシステムへ落とし込むための項目を確定させデータベースと援助ガイドが連動していくシステム仕様の策定を行う」という計画に対しては、ITソリューションズのプロデュース事業をしている業者と業務委託契約を結びシステム仕様の策定を行ったことで達成できた。 ④の「ナビゲーションシステムのアウトラインを使用してのワークショップを行い、その効果を確認しさらに改良を加える」という計画については、研究者が研究協力者(4箇所の病院のソーシャルワーカー)にアウトラインを示し意見聴取を行いさらに改良を加えて試行版のソフトウエアを作成し、NICU入院児ソーシャルワーク研修の受講生40名にプレゼンテーションを行い意見聴取を行ったことでほぼ達成できた。
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Strategy for Future Research Activity |
ナビゲーションシステムの更なる改良を行い、出来上がったナビゲーションシステムを研究協力者に試用してもらい、問題点、改良点を洗い出し、その修正版としての仕様を改めて策定しその開発を行う。同時にナビシステム使用マニュアル冊子の作成を目指す。 上記のプロセスにおいて、数回の研究協力者との研究会、システム開発業者との委託契約、業者との打ち合わせが発生する。 最終的にはナビシステムを完成させて、広く普及させることを目指している。 今回の研究では、実践モデルの援助手続き部分に関しては、NICU入院直前から退院直後までの援助について開発を目指している。 今後の研究課題としては、退院後において地域と連携しつつ医療機関に所属するソーシャルワーカーが自らの援助を行うための指針となる実践マニュアルの開発、もしくは、出産前の母親と胎児へのソーシャルワークを行うための実践マニュアルの開発が必要である。これらについては、質的・量的調査の両面から研究を進めていくことが望ましい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究協力者が全国にいるため場所を変えての数回の研究会の開催を行う必要がある。また1、2回は全員が集まって研究会を開催をする必要がある。そのための会場費、旅費交通費、謝金が発生する。 ナビシステムの完成を目指して業者との委託契約を行う必要があるためシステム開発業者への謝金が発生する。 ナビシステムのガイドブック及び使用マニュアルを作成しシステムをより理解しやすく使用しやすくする必要がある。そのための印刷費が発生する。
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Research Products
(2 results)