2012 Fiscal Year Research-status Report
保育所に通う外国につながりのある子どもと保護者の支援に向けて
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23530794
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Research Institution | University of KinDAI Himeji |
Principal Investigator |
松島 京 近大姫路大学, 教育学部, 准教授 (20425028)
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Keywords | 外国につながりのある子ども / 外国籍児童 / 子どもの権利 / 子育て支援 / 保育と教育の接続 |
Research Abstract |
本研究は、「外国につながりのある子ども」とその保護者が小学校就学の際に抱えている課題を明らかにし、保育所を中心とした、地域における生活支援のシステムを構築するための方策を検討することを目的とする。外国につながりのある子どもに対する保育や教育をめぐる調査研究は、日本における外国人とその子どもの増加により、現在も著しい展開を見せている。平成24年度は、前年度に行った先行研究の整理をもとに、その内容をまとめ、その上で、外国につながりのある子どもが在籍する保育所を対象としたヒアリングやインタビュー調査を行うこととした。 調査・研究の蓄積により教育・保育現場での課題が浮き彫りになるにつれ、外国につながりのある子どもの不就学等の問題は、学校という制度だけの問題ではなく、子どもとその家族のおかれている環境や、家族的な背景があること、そして、それに対しての支援が必要だという論も展開されるようになった。しかしながら、子どもの成長や発達の連続性をふまえた長期的な支援のあり方や、保護者等家族も含めて支援することについての研究はまだ少ないということも、先行研究をまとめる中で明らかになってきた。 視察及び調査の結果と考察は次のとおりである。保育所では、地域や保護者の生活の実情に応じた子どもと保護者への支援方法を個々に模索していることが明らかになった。また、子どものことばの獲得や愛着関係の形成において、保護者にも家庭でその役割を担ってもらいたいと思いつつも、文化や価値観の違い、保護者の労働・生活環境による忙しさを把握しているからこそ、対応の悩ましさを抱えていることも明らかになった。これら結果もふまえ、外国につながりのある子どもの成長や発達を視野に入れた、連続性のある長期的な支援のあり方や、保護者等家族も含めて支援することの重要性を提示することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
②おおむね順調に進展している、とした理由は次の通りである。 平成24年度の研究計画として、(1)先行研究の整理と蓄積の継続、(2)保育士を対象としたインタビュー調査、(3)小学校教諭を対象としたインタビュー調査を行うことを設定していた。(1)については前年度より継続して先行研究の整理と蓄積を行い、その成果として、一定、まとめることができた。(2)については、まず、昨年度実施できなかった先進地域へのヒアリングを行うことで課題を明確にし、それをもって保育士を対象としたインタビュー調査を行うことができた。(3)については、小学校教諭を対象としたインタビュー調査を行うことはできなかったが、これは、その調査と大きく関係する保育士を対象としたインタビュー調査の実施と考察を優先したことによるものである。その結果、(1)と(2)の充実化により、小学校教諭を対象としたインタビュー調査を実施するにあたっての課題設定を研究計画当初よりも明確化することができた。また、新たな課題を発見することにもつながった。これにより、次年度の調査の見通しを立てられることとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度使用予定の研究費が生じた状況として、1)国外における先行研究整理が不十分であったこと、2)小学校教諭を対象としたインタビュー調査が実施できなかったこと、があげられる。「現在までの達成度」で記したように、平成24年度は、国内の先行研究の整理に基づくまとめをし、その上で先進地域のヒアリング調査と保育士を対象としたインタビュー調査を行い、課題の明確化に努めた。そのため、当初予定していた研究費を次年度以降に使用することとなった。このことをふまえ、平成25年度の研究計画は次の通りである。 (平成25年度) 1)引き続き先行研究の整理と蓄積の継続を行う。外国人の生活保障や移民政策の調査研究など国外の研究も視野に入れ、国内外の関連文献の収集及び検討を継続して行い、研究の精度を高める。2)保育士を対象としたインタビュー調査を継続する。3)小学校教諭を対象としたインタビュー調査を行う。4)調査内容の分析と考察を行う。調査データの分析と考察を行い、文献レビューと関連づけることにより、①外国につながりのある子どもとその保護者の小学校就学における現状を把握し、②保育所から小学校への接続にあたっての課題を明らかにした上で、③外国につながりのある子どもと保護者への支援のあり方や、保育所の役割の重要性の提示を行う。5)研究成果の報告を行う。研究結果をもとにその時点で考察したものを、国内学会において報告する。日本保育学会、日本対人援助学会での報告を検討している。また、この研究成果は、論文として学内紀要及び日本保育学会や日本対人援助学会等の学会誌に投稿をし、最終的に成果報告書としてまとめる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
(物品費について) 外国につながりのある子どもに対する保育・教育をめぐる先行研究と政策展開をまとめ最新の動向をおさえるために、国内外の文献を多分野(教育・保育、福祉、移民政策、多文化共生、外国人労働問題、等)に渡り収集し整理を行う。そのため、国内文献及び外国語文献を購入する費用が必要である。平成25年度は特に国外文献の収集を積極的に行う。また、これら資料の整理や、調査データの記録や保存のために、記録媒体や文具類を購入する費用が必要である。 (旅費、および人件費・謝金について) 1)研究の基礎となる、研究に関する情報収集のための旅費、2)インタビュー調査にかかる旅費、3)研究成果の報告にかかる学会参加のための旅費、4)論文投稿時の英語要旨チェック代金、が必要である。特に、旅費が多くかかるのは、視察調査及びインタビュー調査、資料の収集、及び学会報告参加に際して、研究チームとして3人で移動及び実施をするためである。インタビュー調査地は主として姫路市内である。また、情報収集のために参加をする関連研究会、発表を行う学会については、関西を中心として、九州近辺、関東近辺を想定している。 (その他について) 先行研究の整理にかかる国内文献及び外国語文献の複写費が必要となる。また、研究成果の報告にかかる学会参加のための参加費、論文投稿時の投稿費が必要となる。
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Research Products
(4 results)