2013 Fiscal Year Research-status Report
里親支援機関事業創設期の諸課題~里親委託推進と支援の構成要素、類型化に関する研究
Project/Area Number |
23530801
|
Research Institution | Aoyama Gakuin Women's Junior College |
Principal Investigator |
横堀 昌子 青山学院女子短期大学, 子ども学科, 教授 (10289879)
|
Keywords | 里親支援機関 / 里親支援 / 社会的養護施設 / 児童相談所 / 里親家庭 / 実子 |
Research Abstract |
里親支援機関事業の実施状況のうち、とくに入所型社会的養護施設による里親支援の現状と課題、今後の可能性についての研究成果を、前年度に引き続き、14回日本子ども家庭福祉学会全国大会において発表した。タイトルは「里親支援機関事業をめぐる一考察~施設受託型の事業の課題を通して(2)」 である(単独)。 また、里親家庭における実子の認知の状況と支援ニーズ、支援の必要性やその前提となるアプローチ、今後の里親家庭への支援に求められる方向性等について整理した研究成果を、アジアで初めて日本で開催された世界里親機構の国際大会で発表した。つまり、″Experience as a biological child in a foster family in Japan and how to support foster families in the future″~「日本における里親家庭の実子の経験とこれからの里親家庭支援に向けて」と題し、IFCOの世界大会( International Conference 2013 "Moving forward Hand in Hand for Foster Care",International Foster Care Organization 大阪世界大会2013)にて分科会発表として採用され、発表したものである。これは、共同での発表に位置づくものであるが、筆者の発表担当部分については、本研究の一環として取り扱ってきた里親家庭の支援の課題に連なるものである。また、すべての里親支援機関に求められるアプローチである。 これらの研究成果は、里親家庭を委託児童・実子、養育者を含めた家庭全体として支援するスタンスから、既存の社会資源を活かした里親支援機関のあり方について言及するものであり、本研究の一環として意味をなすものである。 当初の研究計画における研究の進展状況としては、児童相談所と入所型社会的養護施設における里親支援の実際と今後の可能性についての状況把握は進んでいる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究開始後、里親支援をめぐる国の政策が動きつつある。乳児院・児童養護施設など社会的養護施設に里親支援専門相談員の配置が始まり、里親支援機関事業そのものとあわせてどのように各地域で里親支援を展開していくのか、自治体も模索しながら構築中という時期となっており、地域格差や実践のヴァリエーションが生じている。そうした状況をより総合的に把握し、再度里親支援の展開の可能性について研究を精査する必要が生じ、当初の計画よりも研究上の手間と時間を要している。
|
Strategy for Future Research Activity |
今年度はとくに、里親支援機関事業の事例調査を進め、総合的に研究をまとめていく予定である。里親支援機関事業の実践状況の実際にヴァリエーションが生まれていることから、全国の里親支援機関事業の状況を改めて把握し、整理しつつ、改めて調査対象を選定し、調査を展開する。また、獲得した調査研究上のデータやこれまでの研究の蓄積の中で得た研究内容の分析と考察を進めていく。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
2013年度は、まず私的な理由であるが、親族の介護と看取りが生じたことによって、研究がやや停滞し、当初の計画に沿って充分展開できなかった。また、里親支援機関および里親支援をめぐって政策レベルでの動きがある中、研究をより精査する必要が生じ、実践状況の把握をまだ進めているところである。よって、里親支援機関の調査、訪問によるヒアリングなどがまだ研究上残っている。そのため、研究上の使用額に残額が生じた。 里親支援機関の現状と今後の実践上の課題、里親支援の包括的な状況とその課題を把握するための関係機関への訪問事例調査、ヒアリング、関係学会・研究会等への参加、研究成果の学会等での発表のための旅費、研究上必要な機器の充実その他に残額を有効に使用する予定である。
|